同社は、創業50年を迎える食品製造販売業です。珍味、乾物、土産物、農産物加工品など幅広い食品の製造、卸、小売を行っています。特に、傷がついたり作り過ぎてしまったりした農産物を再加工し、食品として販売も行っており、問い合わせや来店者が増加していますが、店内の商品陳列スペースが貧弱であるというご判断から、店舗改装を行うことにしました。
同社では、その資金を小規模事業者持続化補助金で調達しようと考えたわけですが、採択をより確実なものとするべく、同社で作成した計画書をどのようにブラッシュアップするべきか、弊社にご相談をされました。
結果として同社は、当該補助金に採択されるわけですが、そのブラッシュアップのプロセスを複数回にわたってご紹介していきます。
下図は、小規模事業者持続化補助金<一般型>に応募する際の一般的な提出書類ですが、今回のコラムでは、下図、様式2-1<補助事業計画>「Ⅰ.補助事業の内容」のうち赤枠部分「2.販路開拓等(生産性向上)の取組内容」の書き方を解説していきます。
なお、当コラムでは<補助事業計画>「Ⅰ.補助事業の内容」のうち、「1.補助事業で行う事業名」は公序良俗に反しない限り、30文字以内にまとめるだけで済むという認識であること、「3.業務効率化(生産性向上)の取組内容」は任意記入であることから解説を割愛しています。
1.「販路開拓等(生産性向上)の取組内容」の書き方
(1)補助事業の概要を端的に記載する
同社が当欄に書かれてきた内容には【概要】という見出しがあり、補助事業で実施したい店舗改装の内容が4行にわたって書かれていました。ですが、その内容は現状の説明や、補助事業の効果も含まれたものであり、冗長な印象が否めません。そこで、不要な部分を削ぎ落としていただき、端的に1行でまとめていただきました。
(2)5W1Hを記載する
同社が当欄に書かれてきた内容には、上述の【概要】という見出しの他に、【現況】【問題点】【改善点】【具体的内容とスケジュール】がありました。これらは見出しで括られているものの重複する内容が散見されるとともに、ヌケモレもありました。
そこで、5W1Hの切り口からまとめていただきました。つまり、いつ改装するのか(When)、店舗内のどこを改装するのか(Where)、だれが改装するのか(Who)、なにを改装するのか(What)、なぜ改装するのか(Why)、どのような手順で改装するのか(How)を示していただきました。
元々記載のあった【現況】【問題点】はWhyであり、【改善点】はHow、【具体的内容とスケジュール】はWhenに該当する内容でした。その他のWhere、Who、Whatを追記していただき、5W1Hが一目で分かるよう、表にまとめていただきました。
(3)創意工夫の特徴を記載する
下図のように、公募要領の「審査の観点」には「創意工夫の特徴があるか」という記述があります(赤枠部分)。
そこで、5W1Hの欄外に【創意工夫の特徴】という見出しを設けて、どの点を工夫したのかを記載していただきました。同社の場合、単に店舗改装をして訴求力を向上させるだけでなく、作業動線にも配慮した改装であり、作業の効率向上も狙った点を【創意工夫の特徴】としました。
このようにして「販路開拓等(生産性向上)の取組内容」をブラッシュアップしていただきました。次回は「補助事業の効果」「経費明細表」を見ていきます。
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