小規模事業者持続化補助金とは?初めて申請する方のためのコラム⑨

小規模事業者持続化補助金

 「持続化補助金の特別枠について、色々説明は聞いたんですが、うちはどの枠を使うべきなのでしょうか」このようなご質問を受けました。特別枠は小規模事業者持続化補助金の第8回以降で新設されましたが、この事業者のように5つの特別枠のうち、どの枠を使うべきか判断に悩む場合もあるようです。

 通常枠は補助上限額50万円ですが、特別枠のそれは200万円となっており、賃金引上げ枠・卒業枠・後継者支援枠・創業枠の他、補助上限額100万円のインボイス枠と5つの枠があります。もらえるならたくさんもらえた方が良いのでしょうが、それぞれの枠において様々な条件があります。

 よって、その条件を理解し、消去法で自社が使うべき枠の選択をお勧めしていますが、今回のコラムでは、下記サイトからダウンロードできる「ガイドブック」「公募要領」を参考にしながら、当補助金の特別枠のうちインボイス枠を除く4つの枠について見ていきます。なお、当コラムでは概要やポイントを述べておりますので、詳しい内容は「公募要領」を直接ご参照ください。

【商工会議所エリア】

小規模事業者持続化補助金(一般型)
小規模事業者持続化補助金は、持続的な経営に向けた経営計画に基づく、小規模事業者等の地道な販路開拓等の取り組みや、業務効率化の取り組みを支援するため、それに要する経費の一部を補助いたします。

【商工会エリア】

小規模事業者持続化補助金【一般型】  Top

1.小規模事業者持続化補助金とは? Part9[特別枠編]

小規模事業者持続化補助金とは?Part9[特別枠編](1)赤字事業者は賃金引上げ枠で補助率が上がる

 まず、賃金引上げ枠ですが、自社内の最低賃金を地域別最低賃金より30円以上増加させる場合に適用されます。すでに自社内の最低賃金が地域別最低賃金以上になっている場合は、現在の自社内の最低賃金を30円以上増加させることになります。いずれにせよ、申請時点において直近1か月で支給している賃金補助事業終了時点での賃金が比較されることになります。

 賃金引上げ枠における補助率は3分の2と通常枠と変わりませんが、補助上限額が200万円へ、また、赤字事業者は補助上限額そのままで補助率が4分の3に引き上がります。つまり、補助上限額の交付を狙うなら、赤字事業者の場合は約267万円の補助対象経費を使用する必要がありますが、赤字でなければ300万円のそれを使用する必要があるということです。

小規模事業者持続化補助金とは?Part9[特別枠編](2)小規模事業者を卒業する場合は「卒業枠」が活用できる

 小規模事業者か否かは従業員規模で決まることを以下のコラムで詳しく述べました。

 そして、雇用を増やして小規模事業者を卒業する事業者は、通常枠と同じ補助率3分の2でありながら、補助上限額が4倍の200万円になる「卒業枠」を利用することが可能です。

 ただし、雇用を増やすことができず、小規模事業者から卒業できなかった場合は、当制度は利用できず、補助金は交付されないことになります。新たに人材を雇用しても、既存の人材が退職すれば雇用自体は増えませんので、人材定着の取り組みも併せて検討する必要があります。

小規模事業者持続化補助金とは?Part9[特別枠編](3)後継者が実施する取組は「後継者支援枠」が活用できる

 事業承継は中小企業が抱える課題のひとつですが、この対応として「後継者支援枠」が創設されました。当枠を利用するには、下記「アトツギ甲子園」のファイナリストであることが条件となっています。

後継者たちの本気の挑戦「アトツギ甲子園」 | 実現したい未来を語れ
全国初!同族承継・第三者承継・社員承継など、中小企業の後継者限定のピッチイベント「アトツギ甲子園」(中小企業庁主催)。新規事業の実現に向けて、販路開拓・資金調達・技術開発・人材採用などの課題を解決するためにビジネスプランを競う。

 「アトツギ甲子園」は新規事業のビジネスアイデアを競うイベントで、エントリーすると、特設ページで会社名や事業プラン名などが公表され、事業プランのブラッシュアップ講座が受講できます。

 応募資格は1982年以降に生まれた後継者もしくは後継者候補であり、1・2次審査を通過するとファイナリストとして最終審査に進み、優勝者が決定されます。

小規模事業者持続化補助金とは?Part9[特別枠編](4)創業者が実施する取組みは「創業枠」が活用できる

 公募締め切りから3年以内に創業した方のうち「特定創業支援等事業」による支援を受けている場合は、通常枠と同じ補助率3分の2でありながら、補助上限額はその4倍の200万円になる「創業枠」を利用することが可能です。

 いつ創業したのかという点については、法人の場合、当補助金申請時に提出する現在事項全部証明書または履歴事項全部証明書の「会社成立の年月日」(下図参照)が基準となるでしょう。

 また、個人事業主の場合、当補助金申請時に提出する開業届の「開業日」(下図参照)が基準となるでしょう。

 上の2つの図における赤枠部分の日付が、公募締め切りから3年以内であるとともに、国から認定を受けた市区町村や商工団体などが実施する創業支援である「特定創業支援等事業」を活用して創業する必要があります。

 「特定創業支援等事業」の具体例としては、創業セミナーの受講や窓口相談などが挙げられますが、実施していない自治体もあるので、これを活用するには事前の確認が必要です。

 今回のコラムでは、小規模事業者持続化補助金を理解していただくために、特別枠に関する内容として(1)赤字事業者は賃金引上げ枠で補助率が上がる、(2)小規模事業者を卒業する場合は「卒業枠」が活用できる、(3)後継者が実施する取組は「後継者支援枠」が活用できる、(4)創業者が実施する取組みは「創業枠」が活用できる、を述べました。

 次回のコラムでは、初めて持続化補助金を申請する方のために、特別枠の中の「インボイス枠」について見ていきます。なお、小規模事業者持続化補助金について基礎的な内容を解説した当コラムのバックナンバーは以下となりますのでご参考まで。 

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4.電子書籍のご案内(2021年3月22日発行)

小規模事業者持続化補助金に応募したくなる本
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