ある店舗の客単価向上策
売上は客数と客単価の掛け算で算出されます。どちらを上げても、もう一方が下がらなければ、売上は上がるのですが、客単価の向上よりも、客数の増加策に偏った取り組みを行うロードサイド店舗が多い印象があります。経営における判断材料の揃え方でも示しましたが、売上向上を考える際は、抜け漏れなくその構成要素を検討する必要があります。
都内のある居酒屋チェーンでの取組みです。飲食をしながら会話をしている顧客の雰囲気からそろそろお開きになるのかな、と店舗スタッフが感じたとします。そして、その顧客が口に運んだグラスをテーブルに置く際、グラス内に入っている氷の音が大きかったら、つまり、グラス内の飲み物が少なかったら、すかさずスナック菓子の盛り合わせを「こちら当店からのサービスです。よかったらどうぞ」と提供します。
そろそろお開きという雰囲気の中、グラス内の飲み物が空に近くなった状態は、お勘定をして退店する可能性が高くなっています。その際に、スナック菓子の盛り合わせを無料で提供すると、ほとんどの場合に、追加ドリンクのオーダーが入ります。スナック菓子の盛り合わせといっても、原価は100円程度です。それに対して、ドリンクの利益率は非常に高いですから、採算は十分に合うわけです。
消費者の購買量を増やす方法
さて、客単価を向上させるには、このように、量をたくさん買っていただく手法がありますが、同じ商品の購買量を増やす方法と、違う商品も併せて購買していただく方法があります。
同じ商品の購買量を増やすには、原則としてお得感が必要となります。上記の居酒屋さんのようにタイミング良く差し入れをしてドリンクのお代わりを受注したり、紳士服店でパンツ2着目を半額にしたりするなど、まとめて買うと1個買うよりも単価が低くなる価格設定などが考えられます。
違う商品も購買していただくには、原則として組み合わせ販売が必要となります。アパレル関係でよく見られる、コーディネート販売などは、ジャケットを買いに来たら、販売員の的確な助言で、それに合うパンツもついでに買う、さらにそれらに合うYシャツも買う、といった形が理想的です。
また、アメリカを代表する小売業のウォルマートでは、紙おむつのそばにケース入り缶ビールを陳列して高い業績に結びつけました。紙おむつなど嵩張る商品は、週末に車を利用して夫婦で買いに来るケースが多いことが分かったため、夫のケース入り缶ビールの需要も併せて取り込もうという狙いが当たったわけです。
もっとも、今やそのような嵩張る商品は、ネット通販で購入し、自宅まで届けてもらうのが一般化していますので、現在のロードサイド店舗は、店舗に来ていただく理由を明確にしなければなりません。この点については、以下のコラムで述べています。
売上が低下しつつある店舗のリピーター増加策
来店はあるものの購買に至らない店舗の客単価向上策
なお、量をたくさん買っていただく取り組みは、効率が良いのですが、やり過ぎると「あざとい」「しつこい」印象を顧客に植え付けてしまいますので、留意して取り組みましょう。
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