経営革新計画の承認を取得した飲食店の事例②

経営革新計画

 経営革新計画の承認制度は、新規事業の計画(経営革新計画)を都道府県に審査していただき、一定レベルの計画であると認められると、都道府県知事の名前が入った承認書がいただけます。弊社ではこれを補助金の加点やマスコミ対策で活用することをお勧めしています。

 今回のコラムは、その経営革新計画の承認を取得した居酒屋の事例です。女将さんとパートタイマー数名で運営するこぢんまりとしたその店舗は、新型コロナウイルスの影響で客足が落ちてしまいました。そこで、何とか業績を回復させたいという想いで経営革新計画の作成に取り組むこととし、弊社がそのご支援を行った結果、承認取得に至りました。

 以下は経営革新計画の構成ですが、今回のコラムでは「自社の内部環境」を書く際の留意点について述べていきます。

1. 「自社の内部環境」の書き方

(1)言葉の定義を明確にする

 内部環境は大きく強みと弱みに分けられます。弊社では、強みを「顧客に価値を提供できる差別的優位性のある経営資源」、弱みはその逆の「顧客に価値を提供できず、差別的優位性のない経営資源」と定義づけています。もっとザックリ言ってしまうと、強みは好ましい経営資源、弱みは好ましくない経営資源であり、これらを以下の切り口から洗い出しました。

(2)切り口を明確にする

 前述の通り、強みにせよ弱みにせよ、経営資源について述べることとなります。この経営資源は、人・物・金・情報から構成されます。同店の場合は、強みとして以下が挙げられました。

 【人的資源の強み】

  • 代表は飲食店勤務歴が長いため、顧客との関係性を構築する術に長けている。
  • 父親名義で○○店も運営しており、人材の融通が利く。
  • 創業◎年目から既に経営革新計画の策定に着手しており、現状に安住しない経営姿勢が強い。

 【物的資源の強み】

  • 親戚のルートを活用して●●県の食材を安価に入手でき、当地の家庭料理を提供することが可能である。
  • 焼き物やオーブン調理をする場所(焼き場)が前面道路に面しており、テイクアウトの促進が容易である。

 【情報的資源の強み】

  • 代表は、介護職の経験があるため、高齢者の立ち上がりの介助、携帯電話の音が聞こえる周波数の設定などの顧客サービスの他、要介護になる可能性の高い生活習慣などのアドバイスが可能である。

 これに対して、弱みとしては以下が挙げられました。

 【財務的資源の弱み】

  • 売上規模が大きくなく、売上減少が人件費負担に大きな影響を及ぼす構造となっている。
  • 売上高対売上総利益率が△△%(▲年決算)であり、業界平均の▽▽%を下回っており、収益性が高くない。

 【情報的資源の弱み】

  • 情報発信力が高くなく、顧客を積極的に開拓する姿勢よりも「待ち」の姿勢が強い。
  • 仕入ルートが豊富ではない。

 人・物・金・情報の4つの経営資源全てにおいて、強みと弱みが列挙できなければ無理に記載する必要は無く、同店の場合、財務的資源の強みと人的資源・物的資源の弱みは記載しませんでした。

 そして、この洗い出した強みの中で、新規事業に活かせる強みを探します。また、洗い出した弱みの中でどうしても克服するべき弱みを探し、新規事業を検討します。

(3)活かすべき強みと克服するべき弱みを探す

 同店の場合、代表が●●県出身であることから、当地の食材を入手できる強みがありました。よって、●●県の郷土料理を提供することで差別的優位性が構築できる可能性があります。また、介護職を長年経験してきており、高齢者への対応が優れている点も他の居酒屋経営者にはなかなか無い強みと言えます。

 反面、新型コロナウイルスの影響で外出が自粛される中、情報発信力が低いという弱みは克服するべきと考え、新規事業の青写真を描くこととなりました。

 このようにして「自社の内部環境」を洗い出しましたが、この項目より前の部分は以下のコラムを参考にして下さい。次回は「自社の外部環境」を見ていきます。

経営革新計画の承認を取得した飲食店の事例①

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