石材店の事例から見る経営革新計画の書き方③

経営革新計画

 その石材店は元々墓石の販売を主たる事業としていましたが、車両の車輪止めや傘立てを御影石で作って市場投入するなど、独創的な商品展開を行っていました。そして自社の事業をさらに拡大させるべく、地元の商工会を通じて小規模事業者持続化補助金に応募しました。

 その際に、商工会の経営指導員の方から経営革新計画の策定を勧められ、これに取り組むこととし、弊社がそのご支援をしました。同社は、結果として経営革新計画の承認を取得しましたが、そのプロセスを見て行きます。なお、経営革新計画承認制度の詳しい内容は以下のリンクをご参照下さい。

 経営革新計画の策定支援について

 下図は経営革新計画の構成ですが、今回のコラムでは下図赤枠部分「⑦販売計画」「⑧設備投資計画を記載する際の留意点について述べていきます。

1.販売計画の書き方

 新規事業を立案したものの、売れなければ意味がないわけで、そのためにも販売計画の立案は大きな意味を持ちます。この販売計画の項目としては①ターゲット、②販売チャネルと営業活動、③営業ツールの充実、の3点となります。

(1)ターゲット

 まず、誰に販売していくかというターゲットの設定ですが、誰にでも石材商品を販売していくということでは、八方美人的な営業活動になり、当経営革新事業の魅力が伝わりにくくなります。同社は、最終的には墓石を販売したいわけですが、まずは車止めに需要のある層をターゲットとして設定しました。

(2)販売チャネルと営業活動

 次に、販売チャネルと営業活動を検討します。「チャネル」とは「経路」を意味し、代理店を販売チャネルに組み込むのか、ネット通販という経路も活用するのかなどといった点から検討します。同社の場合、販売チャネルは自社の直接営業、営業活動は自社ホームページ・ブログ・グーグルマイビジネス・Facebook・YouTube・電子書籍を活用することを記載しました。

(3)営業ツールの充実

 そして、充実させるべき営業ツールを検討しますが、同社の場合は既存のホームページをスマホ対応にリニューアルすることを盛り込みました。なお、同社はこの費用の一部を小規模事業者持続化補助金で調達しようとして、応募用の計画書を記載し、地元商工会に見てもらったことが経営革新計画策定のきっかけとなっています。

2.設備投資計画の書き方

 同社の場合は、設備投資の予定が無かったのですが、経営革新事業を行うために設備投資が必要であれば、その内容を記載します。具体的には、いつ、何に、どの程度投資をするのか、そして増加する減価償却費の額を記載します。

(1)減価償却費とは

 一般的に、事業で必要なものを買ったら経費として計上します。ですが、一定額以上の資産を購入した場合は経費ではなく、減価償却費として計上します。

 例えば1ヶ月前に300万円で買った車両を販売店に返品しようとした場合、300万円全額は返金されないはずです。1ヶ月間の使用でこの車両の価値が低下したからです。この価値の減少分を費用として捉えるのが減価償却費です。

 投資する物件によって耐用年数というものが決められていますが、新車の普通車における法定耐用年数は6年となっています。つまり、6年後にこの車両の価値はゼロとなるため、300万円で購入したとしたら年間の減価償却費は50万円ということになります。

(2)減価償却費を把握する意義

 経営革新計画では、一定の付加価値の伸び率が求められますが、この付加価値は、営業利益・人件費・減価償却費の合計額となります。よって、設備投資計画で減価償却費がいくら発生するのかを把握しておく必要があります。

 今回のコラムでは、「販売計画」「設備投資計画」の書き方を見てきました。販売計画で売れる仕組みをどのように作るのかを明確にするとともに、設備投資計画で無理のない物的資源の充実を図っていただきたいと思います。

3.経営革新計画の作成をサポートします

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