経営革新計画の書き方4:マクロ環境分析

経営革新計画

 前回のコラム「経営革新計画の書き方3:内部環境分析」で、強み・弱みを見出す視点として、「人」「物」「金」「情報」があること、弱みと認識していることから発生していることに目を向けると強みを見出せる可能性があることを述べました。なお、この経営革新計画の内容は、以下となります。

 1.会社概要
 2.当社の内部環境
 3.当社の外部環境
 4.当社のビジョン
 5.ビジョン達成の課題
 6.新たな取組みの内容
 7.販売計画
 8.設備投資計画
 9.雇用計画
 10.事業推進体制
 11.教育研修計画
 12.売上・利益計画
 13.返済計画
 14.行動計画

 このうち、今回のコラムでは、「3.当社の外部環境」のうち、マクロ環境について見ていきます。

PEST分析

 外部環境は大きくマクロ環境とミクロ環境に分けられます。マクロ環境とは、業界内の各企業自身がコントロールできない外部環境を指し、代表的な視点をまとめたものにPEST分析があります。

 これは、政治面(Politics)、経済面(Economy)、社会・ライフスタイル面(Society)、技術面(Technology)それぞれの頭文字をとったものであり、以降でそれぞれの分析における具体例を、私が20年以上身を置いていたガソリンスタンド業界を例に見ていきます。

政治面(Politics)

 政治面での分析では、政策の変化や法律の改正などの面に着目します。1998年に消防法の改正で、それまでガソリンスタンドのスタッフでなければ給油出来なかったフルサービス方式に加え、セルフサービス方式が解禁となりました。セルフは人件費が低くて済むという大義名分のもと、フルに比べて安値で販売したことから、消費者の支持を集めることとなりました。

 また、2010年の消防法改正により、ガソリンスタンドの地下に埋蔵された燃料貯蔵タンクのうち40年~50年経過したものは、防錆加工が義務づけられました。行政からの補助はあれども、この費用負担が重く、ガソリンスタンドの廃業が促進されました。このような法令の改正動向に敏感になっていれば、早期の対応が可能となります。

経済面(Economy)

 経済面での分析では経済成長率、株価、金利、為替相場の推移などに着目します。為替相場はガソリン・軽油の仕入価格に関わってくることとなりますので、場合によっては、早めに仕入資金の調達に動く必要も出てきます。よって、このような動向にも敏感になっておく必要があります。

社会・ライフスタイル面(Society)

 社会・ライフスタイル面での分析では、世の中の文化、価値観などの変化に着目します。例えば、働く女性が増えたという社会的な変化により、ガソリンスタンドを利用する女性が増加しました。当然のことながら、待合室・トイレ、スタッフの清潔感などは、他店との差別化要因として重要な意味を持つようになってきました。

技術面(Technology)

 技術面での分析では、その技術が発展したことによる影響に着目します。例えば、電気を燃料とした車両を開発する技術が進展したことによって電気自動車が普及し、ガソリンの需要が減っています。この電気自動車が普及するスピードや、その規模にどれだけ早く着目して、多角化への布石を打つことができたかが生き残りの背景となっているケースもあるでしょう。

 このようにして、外部環境のうちマクロ環境の分析を行い、自店がどの程度対応できているか、また、今後どの程度対応する必要があるかを検討します。その上で、次回のコラムでお伝えするもうひとつの外部環境の視点であるミクロ環境を分析することとなります。

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