前回のコラム経営革新計画の書き方10:経営資源(ヒト・モノ・カネ)の充実では、経営革新計画の数値要件とそれが持つ意味、また、設備投資計画のポイントとして減価償却費について、雇用計画のポイントとして募集広告の差別性について述べました。なお、この経営革新計画の全体像は、以下となります。
1.会社概要
2.当社の内部環境
3.当社の外部環境
4.当社のビジョン
5.ビジョン達成の課題
6.新たな取組みの内容
7.販売計画
8.設備投資計画
9.雇用計画
10.事業推進体制
11.教育研修計画
12.売上・利益計画
13.返済計画
14.行動計画
このうち、今回のコラムでは、「11.教育研修計画」を見ていきます。
教育研修計画の実態
事業者が従業員に行う教育研修には、以下の2つがあります。
・仕事をしながら実施する「オン・ザ・ジョブトレーニング」、略して【OJT】
・仕事から離れて実施する座学やワークなどの「オフ・ザ・ジョブトレーニング」、略して【Off-JT】
この2つをどのように実施していくのかを「教育研修計画」として記載していきます。具体的には、いつ・誰に・何を・どのように教えるか、また、その費用について記載することとなります。
そして、この「教育研修計画」の実態は【Off-JTについて記載するケースがほとんど】で、OJTを実施する場合は、ほとんど計画化されていないのが実情です。ところが、【大多数の企業はOJTを中心に行っている】というデータがあります。
なぜOJTは機能していないのか
少し古いデータになりますが、2010年に産業能率大学総合研究所が発表したデータによると、教育研修の手段として「OJTを中心に実施している」と回答した企業は9割弱に上りますが、「OJTが有効に機能している」と回答した企業は1割強に留まっています。
つまり多くの企業が、効果を感じられない教育研修の手法をとっている、ということです。そこで、OJTを機能させるようにしなければなりませんが、まず、OJTがなぜ機能していないのか、を検討します。
ここでのポイントはOJTにおける【トレーナー】を誰が担っているか、という点です。トレーナーは職場内でそれなりの知識・経験のあるスタッフが担いますが、そのようなスタッフは他のスタッフからも頼りにされるため、忙しいケースがほとんどです。ただでさえ忙しいこのようなスタッフが、OJTのトレーナーを務めることで今以上に忙しくなった結果、発生するのが、OJTという名の【ほったらかし】や【ぶっつけ本番】であり、このことがOJTが機能しない大きな理由であると言えます。
OJTを機能させるために
そこでまず、トレーナーを代える必要があります。トレーナーを務めるということは、自身のノウハウや知識をアウトプットするということですので、トレーナーの持つノウハウや知識が【より強化される】ことを意味します。
よって、【まだ伸びしろがある】【もっと成長して欲しい】スタッフにトレーナーを務めていただくことにより、そのスタッフ自身の教育研修にも繋がることを見据えて、リーダーはトレーナーを任命する必要があります。
さらには、OJTで【何を】【どのように】教えるべきなのか、【トレーナー用のマニュアル】を準備しておくと、より効果が得られる可能性が高まります。
ここまで整備をすることにより、教育研修計画にはOff-JTだけでなく、OJTを盛り込むことが可能となり、より現実に即した計画が立案されることとなります。
人的資源の充実は、事業拡大の上で重要なポイントとなります。今回取り上げた教育研修計画が有効なものであればあるほど、次回取り上げる売上・利益計画で立案した数値が達成される可能性が高まっていきます。
メルマガ会員様募集中
メルマガ会員様には、リアル店舗の現場経験20年以上、コンサルティング歴10年以上【通算30年以上のノウハウ】を凝縮した【未公開のコラム】や、当サイトに掲載したコラムの【解説動画URL】を優先的に配信しています。
登録はこちらから
↓↓↓
電子書籍のご案内
1年で70人のアルバイトに辞められたガソリンスタンド店長が人材に全く困らなくなった理由:育成編~人材が育つ職場と人材に見放される職場の境界線~
2020年3月15日発行 定価1,055円