経営革新計画とは
経営革新計画の承認制度という行政の中小企業支援策があります。これは、ざっくり言ってしまうと、既存の事業者が新規事業を行う際に、行政が様々な特典を差し上げる制度です。
既存の事業者とは、決算書が最低1期分ある方で、法人でも個人事業主でも対象となります。
また、新規事業とは、自社にとって初めてであり、競合他社が取り組んでいないレベルの取組みを指します。日本初などというレベルではありません。
この新規事業を展開するにあたり、計画を立て、その計画を各都道府県が審査し、計画の完成度が一定レベルにあると判断されると、当該都道府県の知事名で承認書が発行されます。
当社は、100を超える事業者に対して、この経営革新計画の承認取得支援を行ってきただけでなく、当社自身も経営革新計画の承認を得て、新規事業に取り組んでいます。
経営革新計画のメリット
経営革新計画の承認を取得すると、様々なメリットがありますが、代表的なものとして以下が挙げられます。
・専門家から経営革新計画実行のフォローを受けられる
・低い金利でお金が借りられる(別途審査が必要)
・販路開拓の専門家を活用できる(別途審査が必要)
・各種補助金の審査において有利になる
特に、各種補助金の審査において有利になる点は、見逃せないメリットです。補助金の財源は税金であることは、こちらのコラム小規模事業者持続化補助金に採択されるには①で述べていますが、税金を補助金という名に変えて再配分するに当たり、再配分した額以上の納税が見込める事業者が採択となります。
再配分した額以上の納税が見込めることを説得するために、補助金に応募する際は、事業計画書を提出するのですが、経営革新計画の承認を取得したレベルの計画書であれば、説得力が高いですし、そもそも審査時に加点対象としている補助金もありました。
また、独自のメリットを設けている自治体もあり、当社の所在地である埼玉県では、県のマスコットであるコバトンのマークをチラシや名刺、ホームページなどに利用できます。
経営革新計画作成の流れ
当社が、経営革新計画の承認取得のためのご支援をする際に、明確にしていくのは、以下の項目です。
1.会社概要
2.当社の強み・弱み
3.当社の外部環境
4.当社の3年後のビジョン
5.ビジョン達成のための課題
6.新たな取組みの内容
7.販売計画
8.設備投資計画
9.雇用計画
10.事業推進体制
11.教育研修計画
12.売上・利益計画
13.返済計画
14.行動計画
経営革新計画をパブリシティに活用する
経営革新計画を策定し、承認を得るだけでも、自社の分析に基づく具体的な行動計画ができあがり、業績拡大の可能性が高まりますが、パブリシティへの活用も可能です。
例えば、貴店がマスコミから取材を受け、テレビ放映されたり、新聞で報道されたりしたとしたら、翌日の集客は増えるはずです。その理由は、貴店の存在や貴店の魅力を知らない人が、テレビや新聞でそれらを知ったからです。
新聞、雑誌、テレビ、ラジオといったマスコミの影響力は非常に強いため、これらの媒体を使用した広告を打とうとした場合、多額の費用がかかります。
ただし、マスコミ各社は報道することが仕事ですから、常により良いニュース素材に飢えているのも事実です。そこで、マスコミ各社にニュース素材として自店の取り組みや新商品の情報を提供することをパブリシティといいます。
パブリシティを行い、マスコミにニュースで取り上げていただければ、ほとんど費用をかけずに業績を向上させる可能性が高まります。
パブリシティの活用事例
当社がご支援している、従業員規模5名のロードサイド店舗では、経営革新計画の承認を得ただけでなく、承認書が手元に届いた段階で、計画書の内容をA4用紙1枚にまとめ、承認書とともに、新聞社10社にFAXを打ちました。
新聞社に対して、単に「当店の新たな取組みを記事として掲載してください」と依頼するのは単なる売り込みですので、記事として取り上げにくくなります。
しかし、「行政から承認を受けた事業計画に基づいた新たな取組みを記事として掲載してください」では、意味合いが変わってきます。公的な意味合いが強くなるからです。
このFAXをきっかけに、ある新聞社が同店を記事として取り上げ、同店は大きな広告宣伝効果を得ることができました。実は、このロードサイド店舗は、大規模ショッピングセンターの余波を受け、厳しい業績が続いていましたが、これをきっかけに売上を12年ぶりに前年超えさせることができました。
また、各地に設置されている記者クラブにニュース素材として持ち込むことも有効な手段です。弊社のある埼玉県では、埼玉県庁の1Fにマスコミ17社のポストがあり、そこに経営革新計画の内容を書いた書類や、承認書の写しを投函し、ニュース素材として提供します。
各地の商工会、商工会議所では、専門家派遣制度により、この経営革新計画の承認取得支援を行っています。専門家派遣制度を利用することにより、事業者の負担はゼロで経営革新計画の承認取得が可能となりますので、事業拡大を考えるなら、このような制度の活用を検討してみてはいかがでしょうか。
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