ガソリンスタンドが機会損失や逸失利益で後悔しないための留意点

経営の姿勢

セルフスタンドにオイル交換を依頼した顧客

 あるセルフサービスのガソリンスタンド運営を任されている店長が、店舗の暇な時間帯を利用して、アルバイトスタッフとPOSレジのあるカウンター内で油外販売に関して意見交換をしていた時のことです。

 その意見交換が徐々に熱を帯びてきました。店長としてはそのスタッフの意識が大きく変わるかも、と思いながら熱く語っていると、セルフ給油を終えた顧客がレジ前にやってきて、やや不安げな表情で「オイル交換をお願いしたいのですが」と言いました。

 熱く語っていた最中だっただけに、一瞬「オイル交換か、やりたくないな」と思ったという店長は、つい「オイル交換ですか?」と聞き返しました。
 それを受けて、その顧客は「あ、いいです」と言って自分の車へ戻ろうとしました。慌てて店長は「いえいえ、やりますよ」と言いましたが、その店長を振り切って、顧客は車に乗って退店してしまいました。

閉店準備中に洗車を依頼した顧客

 別のフルサービスのガソリンスタンドでは、いつものように、閉店30分前から照明を半分程度落とし、給油エリアの機器類や展示物の片づけを始めていました。

 すると、車で入店した顧客がアルバイトスタッフに洗車を依頼し、待合室に入りました。そこで、店舗スタッフ全員が集まり、洗車をする人、片付けをする人の役割分担や、片付けの範囲を相談していると、待合室からその顧客が出てきて「やりたくないならいいよ、帰るから」と言って車に乗って帰ろうとしました。

 「いえいえ、大丈夫ですよ」と店長がにこやかに話しかけ、その顧客は洗車を改めて依頼しましたが、当時を振り返って、その店長は、誤解を与えてしまったことを反省するとともに、一歩間違えると本当に帰ってしまうところだったと言います。

顧客の不安

 上記事例で、セルフサービスのガソリンスタンドにオイル交換を依頼した顧客は、セルフサービスなのにオイル交換をしてくれるかな、と不安になっていたと思います。閉店間際のガソリンスタンドに洗車を依頼した顧客も、片付け中の閉店間際で、洗車を受けてくれるかな、とこちらも不安になっていたと思います。

 その不安の中、スタッフの対応によって「やっぱり、セルフサービスだから・・・」「やっぱり閉店間際だから・・・」と少しでも顧客に思わせてしまったら、上記の言動をとるのは当然のことでしょう。「そんなつもりではなかった」などという言い訳は通用しないのがビジネスです。

 これらの事例に共通するのは、店長の意識や店舗の体制が通常モードではないということですが、そのような時の顧客対応に店舗の本音が現れます。油外販売は、人間的な強さが求められる所以です。

 「逃した魚は大きい」と言います。ガソリンスタンドが機会損失や逸失利益で後悔しないための留意点は、通常モードではない状況での油外商品受注時の対応を日々シミュレーションしておき、店長・スタッフが、いざという時に動じることのない人間力の向上に取組むことと言えるでしょう。

顧客対応に関する参考コラム

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