推奨型販売
売上は客数と客単価で構成されます。よって、売上を拡大させるには、それらを向上させる必要があるわけですが、今回は客単価にフォーカスします。
自動車は、そのエンジンを円滑に動かすためにエンジンオイルが数リットル入っています。このエンジンオイルは、一定期間もしくは一定距離走行すると、機能が低下するため、交換が必要となっています。
客単価向上に取組んでいた、あるガソリンスタンドでの話です。それまでは、スタッフが車からエンジンオイルを抜いた後に、顧客にエンジンオイルを選んでいただき、言われたままにスタッフがそのオイルを注入していました。
これを顧客が車をどのように使用しているのか(使用頻度や1回の使用時間など)を詳しくヒアリングし、それに合ったエンジンオイルを推奨するようにした上で、使用する新たなエンジンオイルを選んでいただくようにしました。
これにより、推奨されたエンジンオイルを使う顧客も一定数存在することが分かりました。
松竹梅理論
また、その店舗は、下記のラインナップでエンジンオイルを5種類取り揃えていました。
オイルA 3,000円/ℓ
オイルB 2,000円/ℓ
オイルC 1,200円/ℓ
オイルD 1,000円/ℓ
オイルE 980円/ℓ
一番の売れ筋は真ん中に位置する1,200円/ℓのオイルCでした。そこで、最上位に価格の一番高いオイルXを、真ん中にオイルYを増やし、下記のラインナップとしました。
オイルX 3,500円/ℓ
オイルA 3,000円/ℓ
オイルB 2,000円/ℓ
オイルY 1,500円/ℓ
オイルC 1,200円/ℓ
オイルD 1,000円/ℓ
オイルE 980円/ℓ
すると、真ん中のオイルYが一番の売れ筋に変化したのです。1ℓあたり300円の増収となったわけです。
推奨型販売と松竹梅理論が意味するもの
その顧客に合ったものを推奨することは、顧客を大事にすることと言えるはずです。推奨するには顧客の状況を把握する必要があり、顧客の声を傾聴する必要があるからです。
それとともに、人間は松竹梅でいうところの「竹」に該当する真ん中のものを選ぶ心理を上手く活用しました。
客単価を向上させるには、顧客の心理を理解し、それに訴えかける必要がある、ということも一考の余地があります。
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