正社員がきつい
ロードサイド店舗の特徴として、営業時間が長い点、アルバイトスタッフが多い点が挙げられます。その特徴をどのように活かせば客単価が向上するのか、を見ていきます。
ロードサイド店舗であるガソリンスタンドは、低燃費の車や電気自動車が普及したため、ガソリンの販売量低下、つまり、客数の低下に喘いでいます。そこで、洗車やオイル交換といったガソリン以外の商品をいかに販売するか、が長年の課題となっています。つまり、いかに客単価を向上させるか、ということです。
あるガソリンスタンドの営業時間は、朝7:00から夜11:00まで。開店の朝7:00から出社し夕方に退社する早番の社員、午後から出社し閉店の夜11:00に退社する遅番の社員、そしてアルバイトさんが1日4名程度出社し、残りのスタッフは休日をとり、交代で店舗を運営していました。
ガソリン以外の商品、特にタイヤや車検など一定の作業技術が必要な商品を販売するには、相応の知識・経験が必要で、そのような作業は正社員が行っていました。
また、ガソリンスタンドを運営するには、少なくとも1名以上の乙種第4類危険物取扱者という資格の保有者が店舗にいなければなりません。その資格の取得は正社員には義務づけられており、その店舗に所属する社員は全員が、その資格を保有していました。
よって、営業時間内は、いつでも正社員がいるというシフトを作成していました。
しかし、正社員の数も多くないことから、遅番の翌日に早番勤務といったシフトを組まざるを得ない日もあり、正社員は疲弊していました。
アルバイトさんにメリットを与える
そのような運営状況の中、色々と調査していくと、ガソリン以外の商品がよく売れるのは、午前9:00から午後8:00の時間帯であることがPOSデータや現場のヒアリングから分かりました。よって、この午前9:00から午後8:00に販売力のあるスタッフ、つまり、この店舗でいえば正社員を配置できれば、客単価は上がることになります。
そこで、夜の時間帯に出社するベテランアルバイトに、上述の事情を説明し、乙種第4類危険物取扱者の資格を取得していただき、閉店業務を任せることにしました。もちろん、受験料や参考書代は会社負担、合格すればその資格は一生ものであり、資格手当も支給します。そして、閉店までの短時間といえども店舗運営の権限が委譲されます。
上述のスタッフは、合格率30%の乙種第4類危険物取扱者試験をパスし、めでたく資格ホルダーとなりました。そして、閉店業務を任せられるようになったことから、正社員は閉店の午後11:00まで勤務せず、出社時間を早い時間にずらすことが可能となりました。具体的には、それまでは、午後1:00から午後11:00までの勤務でしたが、それ以降は午前10:00から午後8:00までの勤務に代わりました。
客単価を上げる方法
ガソリン以外の商品が売れる時間帯に、それらを販売できるスタッフを数多く配置することが可能となったその店舗は、客単価を大きく向上させ、売上を増加させました。
さらに、他のアルバイトスタッフも乙種第4類危険物取扱者の資格を取得するようになり、特定のスタッフのみが閉店を担当するのではなく、交代でアルバイトスタッフが閉店を担当できるようになり、ガソリン以外の商品が売れる時間帯に正社員を安定的に配置することが可能となりました。
売れる時間に売れる人材を置くことは、当然売れることに繋がり、客単価が向上します。しかし、そのようになっていないのは、何らかの制約があるからです。
理想の状態を阻む制約条件を掴まないまま悩むよりも、理想の状態を阻む制約条件を掴んだ上でどう解決するかを考えることが、打開策に繋がります。
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