2,000円分や10ℓの給油と言われたのに満タンにしてしまったという給油ミスは、基本的な作業のミスですから、ガソリンスタンドは信頼を失い、利益率の高い洗車やタイヤなどの油外商品販売は、一般的には困難となります。
しかし、その後の対応で信頼を高めることができれば、油外商品の販売に結び付けることは可能でしょう。当コラムではミスの対応で、より信頼度を高めた事例を通じて、給油ミスへの対応をみていきます。
一般的な給油ミスへの対応
ガソリンスタンドには、たまたま持ち合わせがないなどの理由で、金額・数量を指定して給油を依頼する顧客が来店されることがあります。しかし、従業員がその内容で受注していながら、満タンにしてしまうという凡ミスが発生した場合、その後の対応は、多くの場合次のパターンとなります。
それは、多く給油した分の支払をお願いし、それが無理ならば多く給油した分を抜くケースです。なぜ多く給油した分の支払をお願いするのかというと、いずれ顧客は、多く給油した分も消費するからでしょう。また、それが叶わない場合に、多く給油した分を抜こうとします。
ですが、その対応に自店のスタッフがミスをしたというお詫びの気持ちがどれだけ込められているのでしょうか。口頭ではお詫びの言葉は発すると思いますが、その後の対応が上記のものである限り、顧客が抱くそのガソリンスタンドの信頼は地に落ちたままでしょう。ここで、2つの事例をみてみたいと思います。
「そこまでやるか」
ある食品スーパーでみかんを1箱買ったAさんが、自宅でその箱を開封したところ、腐ったみかんが2個混ざっていることを発見しました。Aさんは、当該スーパーに腐ったみかん2個を交換してほしい旨、連絡しました。するとそのスーパーの店長は、新たにみかん1箱の他、高級イチゴ2パックをAさんの自宅に持ってきました。
また、ある食品メーカーの製品を食べていたBさんは、その中に異物が混入していることを発見し、当該メーカーに連絡をしました。すると数日後にその異物が何であったかという説明、お詫びのメッセージ、商品の詰め合わせセットが送られてきました。
その異物は芋の根っこであり、異物というほどのものではなかったのですが、迅速かつ丁寧なこの対応にBさんは、今まで以上にこのメーカーのファンになったと言います。
ここまでやってこそ、マイナスになった信頼が回復し、プラスに転じると言えるでしょう。ポイントは、「そこまでやるか」と言われるくらいやるかどうか、という点です。
給油ミスへの対応
ガソリンスタンドで、金額や数量を指定して受注したにもかかわらず、満タンにしてしまった場合は、ちゃんとミスを認め、お詫びをした上で、代金はいただかない旨をお伝えしましょう。 そして、今後どのようにして給油ミスを防止していくのか、今後の従業員教育について説明をしましょう。
多く給油した分の代金支払を求めず、多く給油した分も抜かないということは、一時的には多く給油した分の損失が出ます。しかし、このような痛い思いをしたからこそ、今後の従業員教育にも真剣さが宿りますし、中長期的には、この顧客への油外販売によって、回収が可能です。
ガソリンスタンドの給油ミスを油外販売に繋げるには、このような自店への厳しさと顧客へ与える感動が重要と考えます。ただし、不当にクレームをつけて金銭や物品を巻き上げようとするモンスタークレーマーもいますので、その見極めも留意する必要があります。
クレームに関する参考コラム
■ガソリンスタンドで発生するクレームを予防するための対応とは
■クレームへ対応するのではなく処理に走る会社に利益が出ない理由
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