採用面接の場
私は、21年間で17店舗のガソリンスタンドを渡り歩きました。その中には、アルバイトとして働いた店舗もありますし、正社員として働いた店舗もあります。
働く際は、事業者側と面接をするわけですが、多くの店舗でこの面接を軽視している印象を受けました。だいたい面接官が応募者に投げかける質問は以下のようなものです。
「なぜ当店で働こうと思ったのか」、「いつから働けるか」、「週何日、何時間働けるか」
そして、仕事の内容や給料のことを伝えられ、面接は終わります。その時間たるや短ければ10分程度、長くても30分に届きません。
これから長いお付き合いになると思われる(そうでなければならないのですが)人材の見極めを10分やそこらで済ませてしまう点に、私は大きな疑問を抱いていました。
そこで、私が店長として面接官を行う立場になった際は、最低でも30分は面接に費やすようにしていました。それでも、雇ってから後悔せざるを得ない人材を採用してしまった場合もありました。
長続きする人材を見極めるための効果的な質問とは何だろう。。。とずっと考えていましたが、ある日の新聞にその答えのヒントとなる投稿が掲載されていました。
相性の5軸
それは、雇用ジャーナリストの海老原嗣生氏が書いた記事でした。以下の5つの軸が応募者と店舗で一致しているかどうかが長期間勤めてくれて、戦力になる人材だというのです。
情を重視/理を重視
行動を重視/思考を重視
協調を重視/競争を重視
伝統を重視/革新を重視
スピードを重視/緻密さを重視
例えば、その店舗がどちらかというと、「情」「思考」「競争」「伝統」「緻密さ」を重視する傾向にあるとします。これに対して応募者が「理」「行動」「協調」「革新」「スピード」を重視する傾向にある場合、その店舗にはそぐわない人材であるといえるのです。
ポイントは、この5つの軸は全て一致していることが効果を高めるということです。では、その軸をどのように見極めるか。面接側は、例えば以下のような質問を予め用意しておきます。
質問の例
「あなたの幼なじみが100万円の借金を申し込んできました。あなたは貯金が80万円しかありません。そのような状況で貸しますか?」
「たぶん貸しません」
「しかし、相手は幼なじみです。幼少の頃からこれまで困ったときには助け合ってきた仲です。それでも貸しませんか?」
このような質問で「情」を重視するか「理」を重視するかを判断します。
また、以下のような質問も考えられます。
「あなたの職場はベテラン揃いなのですが、非効率な業務が非常に多い状況だとします。新人のあなたは、効率化する方法を思いつきました。上司に提案できますか?」
このような質問で「伝統」を重視するか「革新」を重視するかの判断をする一助になるでしょう。
このように質問を予め考え、5つの軸を見極めていくと30分はあっという間に経ってしまいます。面接には目的を持った効果的な質問を用意して臨むことにより、結果として使う側も使われる側も満足のいく雇用が創出されることとなります。
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