「カレーは悪くない」
兵庫県の小学校で発生した先輩教諭による後輩教諭のいじめ事件が取り沙汰されています。これにより、児童の心にも影響が及び、一部の児童は不登校になっています。このいじめでは先輩が後輩に激辛カレーを強引に食べさせたり、そのルーを目にこすりつけたりしており、学校側は給食メニューからカレーを外すことを表明しました。
これに対して、各地カレー店の店主が「カレーは悪くない」という声を挙げています。この問題の本質は「給食のメニューがカレーであったこと」ではないはずです。にもかかわらず、なぜ学校側はこのような的外れな対応を取ってしまったのか。今回のコラムでは、その検討を通じて、問題の本質に迫ることができないガソリンスタンドを考えてみます。
問題の本質に迫ることができないガソリンスタンドの共通点1:目的と手段を置き換えてしまう
学校が存在する目的の1つに「児童の育成」が挙げられます。その手段として「毎日登校させる」というものがあるはずです。ところがこの手段が目的になってしまうと「登校させる」ために何をどうするべきかという視点になってしまいます。
これにより「カレーを見たら嫌な気分になるので登校しないなら、カレーを給食から外せばよい」という方策を打ち立ててしまうことになります。
ガソリンスタンドでは、エンジンオイルや洗車など油外商品と呼ばれるガソリン以外の商品について販売実績を向上させるために、声掛け管理を行う場合があります。これは、顧客に声を掛けなければ売れないという考え方が前提にあり、声掛け数の目標を設定し、どれだけ声を掛けたかを管理するものです。
ですが、目的と手段を置き換えてしまうと、声掛け数の多いスタッフが偉い、という認識が職場に根付いてしまいます。目的は販売のはずですが、声掛け数が多ければ売れなくても良いという認識を持つスタッフが出てくるリスクがあります。声掛けは販売の手段であることを忘れなければ、このような事態に陥りにくくなるでしょう。
問題の本質に迫ることができないガソリンスタンドの共通点2:表出した事象に目を奪われる
冒頭の小学校では、複数の児童が不登校になっています。そこで、登校させようとカレーを給食メニューから外しました。ですが、本質はなぜカレーが嫌になって不登校になったのか、という点にあるはずです。
人手不足のガソリンスタンドは頻繁に求人広告を出稿したり、ポスターや看板を掲示したりして募集を告知します。ですが、なぜ人手不足になったのかを解決しない限り、人材が応募してきて採用してもすぐ辞めていくという悪循環が発生します。人手不足という表出した事象だけに目を奪われることなく、なぜそうなったのかを検討する必要があります。
今回のコラムでは、いじめ問題で揺れる小学校の対応から、問題の本質に迫ることができないガソリンスタンドの共通点として「目的と手段を置き換えてしまう」「表出した事象に目を奪われる」を挙げました。小学校という異業種の対応からでもガソリンスタンドは学ぶべきことはたくさんあると感じましたがいかがでしょうか。
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