地域密着を目指す電気店
家電販売の事業を営むある経営者から「地域密着型の商売をしていきたいが、具体的にどのようにすれば良いのか分からない」というご相談を受けました。
「地域密着」という言葉はよく使われますが、具体的に何をすれば地域密着となるのかは、割と曖昧な印象があります。そして、このご相談を受けた時に、私が思い浮かべたのは、自宅から徒歩数分のところにある家電量販店のことでした。
顧客を名前で呼ぶ
私は現在の住まいに引っ越してきて20年が経過します。そして、この自宅そばに立地する家電量販店を利用するにようになってからも20年が経過します。つまり、引っ越してきてからというもの、家電製品はずっとこの店で買っています。
思い付くだけでもパソコン7台、エアコン2台、冷蔵庫1台、洗濯機1台、携帯電話3台、テレビ2台、ストーブ2台…これくらい買っていれば、上得意客と呼ばれても良いのではないでしょうか。ですが、私はこの店舗に行って、店舗スタッフから未だに名前を呼ばれたことがありません。
アメリカの社会心理学者であるデール・カーネギーは著書「人を動かす」の中で、名前で呼ぶことの重要性を解いています。近年は、顧客管理システムで顧客情報を把握する店舗が多いですが、店舗スタッフがシステムに頼らずに、顧客の名前を覚え、顧客を名前で呼ぶからこそ、顧客は自分が大事にされていると感じるのではないでしょうか。
名前で呼ぶ効果
私が過去に厚生労働省系のお仕事をしていた頃の話です。3か月に1回、その仕事をするコンサルタントが50人ほど集まり、会議を開催していました。その50人の中で、あまり愛想のないご年配の方がいました(仮にAさんとしておきます)。
ある日の会議で、会場入りした私の席の隣にAさんが座っていました。いつもなら「こんにちは」と声を掛けて座るのですが、その日、私は「Aさん、こんにちは」と言って、自分の席に座ろうとしました。するとAさんは、これまで見たことのない満面の笑みで「三上さん、こんにちは」と返してくれました。
他人の名前を覚え、名前で呼ぶというのは、相手に関心があるからできることです。そして、人は、自分に関心を持つ人に好意を抱くものです、
評判が良く人気・売上の高い値引に頼らない電気店を経営するためには、地域密着はひとつのポイントになるでしょう。そして、地域を構成するのは地域住民であり、その方々と良好な人間関係を構築することが地域密着と言えるでしょう。
それを実現するために、まずは、名前を把握している既存顧客を訪問し、家電製品に関する困りごとなど近況を尋ねても良いでしょう。その際には、顧客を名前で呼ぶことが重要です。
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