横柄な態度の顧客にカチンと来た時にキチンと考えたいこと

経営の姿勢

 横柄な態度の顧客に腹が立ったら、なぜ腹が立ったのか、そしてなぜ横柄な態度の顧客が来店するのか、を考える良い機会だということを気に留めておきましょう。

 あるガソリンスタンドの経営者から発せられた以下のご質問に触れる機会がありました。


 当店で給油なり洗車なりをした顧客に空気圧点検を頼まれることがありますが、それは笑顔かつ無料で承っています。また、一切何も買わない方に空気圧点検を頼まれることもありますが、頼み方がすごく丁寧だったら、それも笑顔かつ無料で承っています。問題は、横柄な態度で、何も買わないのに客づらをして、偉そうにスタッフを見下した態度で、空気圧点検を依頼されると正直、無料で点検などしたくなくなります。

 これについて見解をいただきたいというものです。

「べき論」に気付き、捨てる

 腹が立つということは、ご自身の「べき論」に相手の言動が刺さったときです。
 この経営者は「何も買わずに空気圧点検を依頼するなら、丁寧に頼むべき」という「べき論」を持っています。よって、これに顧客の言動が刺さると腹が立ちます。

 この「べき論」を捨て去ることができると、そのような顧客に腹を立てることはなくなります。ですが、この「べき論」は簡単に捨て去ることはできないものです。
 なぜならば、何年も何十年も付き合ってきた「べき論」だからです。ただし、捨てるものが見えた時点で捨てることは可能になります。

 相手を変えるのは困難なことです。しかし、腹が立つと相手を変えようとします。変わらないからまた腹が立ちます。
 これに対して、自分を変えることはそれに比べたら容易です。決して相手に屈するということではありません。相手の挑発に乗らない、相手と同じ土俵に乗らない、もっといえば相手にしない、と決めることです。

 これが出来るようになると、横柄な態度の顧客にも淡々と接することができます。器の違いを見せつけてあげましょう。そのためにもまずは自分がどんな「べき論」を持っているのかを見極めましょう。腹が立ったときにその絶好のチャンスなのです。
 そして捨てたほうが良い「べき論」は捨てると覚悟を決めることです。覚悟は、吾(われ)の心(忄)が目覚める時です。

 その上で、なぜ横柄な態度の顧客が来店するのかを考えます。

類は友を呼ぶ

 かつて私が千葉県富里市のガソリンスタンドで店長をしていた頃、ご縁があって千葉県警察成田国際空港警備隊(空警隊)に勤務する方々が給油するようになりました。空警隊は、成田国際空港の警備を担当するため千葉県警察警備部に附置された執行隊です。

 このような方々が頻繁に給油するようになると、やんちゃな若者や反社会的勢力の方々が給油しに来ることが激減しました。彼らにとって店舗の雰囲気が居心地の良いものではなくなったからです。

 店舗の雰囲気は、自店のスタッフや顧客で決まる部分が大きいわけです。横柄な態度をとる顧客が来店したら、そのような顧客が来店しやすい雰囲気になっていないかを検討する良い機会になったと捉え、店舗を点検することが必要と考えます。

 スタッフのユニフォームの着こなし、態度、言葉遣い、遅刻の有無の他、店舗の清掃状況など規律が乱れていないかを検討することにより、横柄な態度の顧客が来にくい雰囲気を作ることが重要です。

 横柄な態度の顧客にカチンと来た時にキチンと考えたいことは、自身がどんな「べき論」を持っているのか、そして自店の規律性が乱れていないか、だと考えますがいかがでしょうか。

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