1.経営者はマネージャー
(1)経営が苦しい理由
先日、あるロードサイド店の経営者とのご面談時に以下の質問がありました。
「『だからダメなんだよな』という経営者の共通点って何ですか」
「ダメ」をどう定義するかによって答えは全く変わると思いますが、基本的に「ダメ」な経営者はいないはずです。ただし、経営をしていない経営者(それを経営者と呼んで良いかどうかは別にして)は非常に多い印象があります。特に創業社長で業績が数年に渡って低迷し、経営が苦しい場合に多く見られる傾向です。
創業社長は、多くの場合、自分が店頭に立って事業を大きくしてきた方です。事業に対する思い入れは非常に強いわけですが、何年経っても自分が店頭にいなければ気が済まない方がいます。
販売員が販売をしなかったら、販売をするように上司が指導するのは当然のことです。場合によっては会社を辞めていただくことになるかもしれません。同様に、経営者が経営をしなかったら経営をするように指導しなければなりません。
ところが経営者には上司がいないのです。中小企業の場合は、株主も経営者であるケースがほとんどですので、辞めていただくかどうかも経営者の意思次第です。よって、経営者が従業員の仕事をし続ける、つまり、マネージャーではなくプレイヤーであり続けることになってしまいます。これが、業績が数年に渡って低迷し、経営が苦しい理由のひとつと言えるでしょう。
(2)経営者は「仕事」ではなく「経営」をする
八百屋さんが野菜を売らずに洋服を売ろうとしたら、売り方の巧拙にもよりますが、業績は上昇しない可能性が高いです。八百屋さんだからこそ売れるものを売らずに、八百屋さんでなくても売れるものを売ろうとしても、そこには自身の専門性が活用されないからです。
同様に、経営者が経営をせずに従業員でもできる仕事をしていたら、その会社の業績は上昇しない可能性が高いはずです。だから、経営者は、従業員でもできる「仕事」をするのではなく、自分にしかできない「経営」をするべきです。
経営者でなければできないことのひとつに「戦略の策定」があります。戦略に対して戦術という言葉がありますが、戦略は、中長期的な視点のもと、頭を使い、組織的な対応として仕組みを構築します。これに対して戦術は、短期的な視点のもと、手足を使い、個人的な対応としてスキルアップを図ります。よって、戦略の策定は経営者でなければできないのです。なお、戦略と戦術の具体的な違いはこちらのコラムを参考にしてください。
そして自社の戦略を具体的に示したものが経営計画です。経営者は戦略を立て、それを具体的な事業計画に落とし込むことが必要です。そして、単に現場で汗をかくことと、戦略を構築するために現場で汗をかくことは、別の話であることを認識しておくべきでしょう。
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