その飲食店は、お昼はうどん店、夜は居酒屋として営業しており、新型コロナウイルスの影響で苦境にあえぐ飲食店が多い中、顧客が押し寄せる繁盛店です。しかし同店は、人材が足りておらず、募集をしてもなかなか応募がないという悩みを抱えていました。そこで今回のコラムでは、飲食店が人材募集で効果を上げる方法を見ていきます。
1. 効果的な人材募集の方策
(1)SNSを活用する
同店では、Facebookに人材募集の投稿をしていますが、新たな投稿があると人材募集の投稿が流れていってしまうため、効果が発揮できていないと感じていました。そこで、人材募集の内容だけでなく、店内で日々あったこと、経営者の日常などを頻繁に投稿する必要があります。
これにより、タイムラインに自店が掲載される頻度が上がり、フォロワーに自店の投稿へ着目させ、今回の投稿だけでなく、過去の投稿に目を向けていただく可能性を高めます。なお、Facebookであれば、個人としてではなく、企業・事業者としてビジネスアカウントを取得すれば、募集に関する投稿など任意の投稿をトップに固定することも可能です。
以下は中小企業庁が発表した5大SNSの特徴です。自店の客層と合うSNSを活用することにより、自店で働いてくれる可能性を持った層が集まることが想定されることから、そのようなSNSを使用することが望まれます。
(2)顧客をスカウトする
募集をかけて応募をひたすら待つだけでなく、こちらから働きかけることも必要です。つまり、当店で働いて欲しい人材が顧客として来店されたら、スカウトするということです。同店の経営者は、店舗が忙しいときなどはスカウトするべき顧客かどうか目を向けている余裕がないということでしたが、そもそも目を向けると決めなければ目は向かないものです。
また、忙しいときにスカウトしたい顧客を延々と口説くわけにはいきません。そこで、ある飲食店では、スカウトしたい顧客に対して以下の内容が添えられた名刺大のカードを渡しています。
「当店では、人間的な魅力に溢れ、コミュニケーション力があり、当店のコアメンバーになれるような方と一緒に働きたいと考えています。当店のスタッフとして活躍することにご興味があれば、ぜひご連絡ください」
募集広告が投げ網漁なら、スカウトは一本釣りです。スカウトすることによって、もともと働く気がなくても「せっかく声を掛けてくれたのだから働いてみようかな」と思わせることが可能になります。
(3)紹介を依頼する
同店は、長年地域の住民に愛されてきた繁盛店です。よって、馴染み客も大勢いるわけですが、そのような方々に同店で働いてもらえる方の紹介を依頼することも、人材募集の有効な手段となり得ます。
この際に「誰かうちで働いてくれる人いないかな」といった依頼では、依頼された方は該当者を探すハードルが高くなってしまいます。よって、例えば「料理が好きな40代の女性を人材として探しているんだけど、知り合いにいませんか」といった形で、同店が望む具体的な人材像をお伝えする必要があります。
なお、同店が「素直で、明るくて、笑顔が素敵な」人材を望んでいたとしても、「素直で、明るくて、笑顔が素敵な人いないかな」といった依頼方法では、やはり紹介は得にくくなってしまうでしょう。「40代」「女性」といった具体的な属性をお伝えする必要があります。
今回のコラムでは、人手不足に苦しむ飲食店の効果的な人材募集の方法として、(1)SNSを活用する、(2)顧客をスカウトする、(3)紹介を依頼する、を挙げました。なお、既存の人材が退職したので人材不足になったわけですから、単に新規の人材を募集するだけでなく、定着率を向上させる取組みをしないとせっかく入社しても早期退職しかねません。これについては以下のコラムを参考にして下さい。
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