目的・目標・手段とは
先日、ある企業において社員研修を行いました。メインテーマは目標の設定やその達成に関する内容でした。
目標は、目的・手段と混同されがちです。そこで、私は以下の例を用いて、これらの切り分けを説明します。
私は、埼玉県川越市に住んでいますが、実家は青森県青森市にあります。最近は実家に帰る際は、東北新幹線を利用しますが、数年前までは自家用車で東北自動車道を利用して帰省していました。その距離は片道約700㎞、お盆時期などは渋滞が発生しますので12時間を要して実家に帰ります。
埼玉から東北自動車道を利用して青森に行く場合、埼玉→群馬→栃木→福島→宮城→岩手→秋田→青森、と各県を通過することになります。そして、この道中は長いですし、朝早く出発しますから、前日は早めに就寝し、しっかりと睡眠をとります。
途中で車が故障しないように予め整備もしておきます。同乗する家族の具合が悪くならないように、車内は掃除しておきますし、酔い止めの薬も準備します。
つまり、最終目的地である「的」は青森であり、そこに到着するために、群馬、栃木、福島、宮城、岩手、秋田という目標地点、つまり「標」を安全にクリアする必要があります。そして、各目標地点へ安全に到達するために、しっかり睡眠をとり、車の整備をし、車内の掃除や薬の準備という手段をとります。
目的は最終的に達成したいこと、目標は目的を達成するためにクリアするべきこと、手段は目標達成のための具体的な行動、と言えるでしょう。
目的、目標、手段の混同
この研修の質疑応答で、あるリーダーから以下の質問がありました。
「ミーティングでチームの目標を共有するべく、目標を私からチームメンバーに話すのですが、途中から話を聞かなくなってしまう人がいます。そのようなメンバーに話を聞かせるにはどうしたらいいですか」
このリーダーは、「目標を共有すること」が「目的」であり、これを達成させるために「話を聞かせること」という「手段」をとるべきところ、「目標を共有すること」ではなく「話を聞かせること」が「目的」になっていることが分かります。
「ミーティングの目的は目標を共有すること」からブレなければ、必ずしもリーダーの話を最後まで聞いてもらう必要もありません。他の手段を講じる必要があります。
このように、目的・目標・手段は混同されやすいので、留意していく必要があります。
なぜ目的がなければいけないのか
また「なぜ目的がなければいけないのか」というご質問もいただきました。
そこで、以下の内容を考えます。
いきなり「あなたは何のために生きていますか」と聞かれ、即答出来る人は少ないと思います。しかし、例えば「発展途上国の貧困に苦しむ児童を救うため」と答えた人がいたとします。それが正しいことなのか夢物語なのかはともかく「あなたは何のために生きていますか」という問いに対して即答出来たところに強さが感じられます。
目的がなくても人は生きていくことが出来ます。しかし、目的があれば人は強く生きていくことが出来ます。会社や事業、プロジェクトなどにも同様のことが言えるでしょう。
また、前述の埼玉から青森への帰省で考えた場合、私が家族に「2泊3日で青森に遊びに行くから準備して車に乗って」と言った場合と「2泊3日で遊びに行くから準備して車に乗って」と目的地を告げないで言った場合では、家族の不安が違います。行き先がどこか分からなければ当然不安を抱えたまま車に乗ることとなります。
つまり、目的を定め、示すことはチームメンバーが安心して仕事に取り組めることに繋がります。
ロードサイド店舗に目的・目標・手段がなければならない理由は、自社を今まで以上に強化し、組織メンバーに安心を与え、そして自社が今以上に世間の役に立つため、と言えるのではないでしょうか。
目的・目標・手段に関する参考コラム
■目標達成の方法を考える前に
■測定不能な目標を掲げた店舗の中長期的売上確保策
■目標未達が続く店舗の中長期的な売上確保策
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