誘導尋問がもたらすもの
あるガソリンスタンドの店長から以下の不満を伺ったことがあります。
彼が取り仕切る店舗の営業時間は、7:00~22:00でした。ある日、本社の上司が店舗に来て、今後の店舗運営に関して話していたところ、営業時間はこのままで良いのか、という話になり、様々なやり取りをした結果、24時間営業を行うことになりました。
実は、この上司は24時間営業ありき、という結論を持っており、上司と店長のやり取りは、一見、店長の自律性を重んじたものだったそうですが、単なる誘導尋問であった、という不満です。
そして、もう一つの不満は、ただでさえ人材不足で忙しいのに、24時間営業を行うための準備を丸投げされ、店長自身で深夜帯に働くスタッフを集め、教育しなければならない、というものでした。
この上司が行った誘導尋問からは、店長が上司へいやらしさを感じたり、反発心が芽生えたりすることはあったとしても、決して物事は良い方向には転がることはないはずです。
自律性を重んじるなどという綺麗ごとを言わずに、「24時間営業をして欲しい。そのために上司として出来ることは何か」と問うた方が、この店長は、よほど前向きになれたはずです。
「自律」とは
「自律」という言葉をネット辞書で調べると「他からの支配・制約などを受けずに、自分自身で立てた規範に従って行動すること」とあります。
前述の上司は、「□+■=10なので、□と■を求めなさい」と言っているに過ぎません。結論は既に出ており、そのために何をするのかを自分で考えなさい、ということです。
上司の結論ありきなので、他からの支配・制約などは受けており、当然、店長自身で立てた規範に従って行動することもありません。
自律性を育てるなら「〇+●=◇」つまり、◇というゴールを設定させ、その手段として〇と●を考えさせることです。しかし、店長の力量によっては、何の答えも出てこない可能性があります。
そこで「この解を導き出すために、上司として出来ることは何か」という問いかけが有効になるわけです。
ロードサイド店舗で働く店長の自律性を高める効果的な質問とは、ゴールと手段、そして、そのサポートとして何が必要かを考えさせる質問だと言えるでしょう。
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