ガソリンスタンドがガソリンで儲からなくなった原因のひとつに、低燃費車や電気自動車の普及による販売量の低下が挙げられます。特にガソリンを燃料としない電気自動車の普及が進むと、ガソリン自体が不要になってきます。
ですが、ガソリンで動こうと電気で動こうと、それが車である限り、運転すると車のボディが汚れる点に着目し、これからは洗車販売に力を入れていこうと考えて取り組むガソリンスタンドも数多く見受けられます。
ですが、思うように洗車の売上が上がらない…今回のコラムでは、そのようなガソリンスタンドが意識するべき3つの顧客心理を取り上げ、洗車をいかに販売していくべきかを見ていきます。
意識するべき顧客心理1:一番上が店舗お勧めメニューだと認識する
多くのガソリンスタンドの洗車メニューは、シャンプー洗車、ワックス洗車、コーティング洗車の3種類です。
そして、このメニュー表を敷地内に大々的に掲げていますが、そのメニュー表の多くは、一番上にシャンプー洗車、2段目にワックス洗車、3段目にコーティング洗車と、上から安い順に並んでいます。
顧客がそのメニュー表を見た時に、一番上にシャンプー洗車があるということは、このガソリンスタンドはシャンプー洗車を売りたいのだ、という認識を持ちます。結果として、一番高額なコーティング洗車が売れにくくなり、客単価の向上が困難になっていきます。
客単価の向上によって洗車の売上を上げたいのなら、洗車のメニュー表の一番上には、同店で一番売りたい(一般的には高額洗車であるコーティング洗車)洗車コースを置くべきでしょう。
意識するべき顧客心理2:並べる順番により割高感もしくは割安感を抱く
前述のように、シャンプー洗車、ワックス洗車、コーティング洗車といった形で安い順に並べるということは、上から下に見ていくにつれて価格が上がっていく構造になっています。
この場合、顧客は割高感を抱く可能性が高まります。100円の次に見る1,000円と、10,000円の次に見る1,000円は印象が違います。前者は割高感を、後者は割安感を抱かせます。
結果として、安い順に並べると、コーティング洗車が売れにくくなります。これを、コーティング洗車、ワックス洗車、シャンプー洗車の順で並べると、上から下に見て行くにつれて安くなっていくため、割安感を抱き、洗車を依頼しやすくなります。
例えば、これまでのメニュー表が以下だったとします。
シャンプー洗車 980円
ワックス洗車 1,480円
コーティング洗車 2,980円
これを以下の並びに変えると、洗車受注数が向上しやすくなる、ということです。
コーティング洗車 2,980円
ワックス洗車 1,480円
シャンプー洗車 980円
意識するべき顧客心理3:真ん中のメニューを選びたくなる
人は、真ん中のメニューを選択しやすい傾向があります。これを松竹梅理論と呼びますが、洗車単価を上げたいのなら、メニューを増やし、真ん中に高額洗車が来るように配置します。
上で示した並び替え後の洗車メニュー表であれば、以下のようにメニューを加えることにより、2,980円のコーティング洗車が売れていく可能性が高まります。
コーティング洗車A(車内清掃、ガラスコーティング付き) 5,980円
コーティング洗車B(車内清掃付き)3,980円
コーティング洗車C 2,980円
ワックス洗車 1,480円
シャンプー洗車 980円
この場合、コーティング洗車AとBに組み込んだ車内清掃、ガラスコーティングは単品で依頼するときよりも安く設定すると、より洗車単価が向上する可能性が高まるでしょう。
洗車の売上が低いガソリンスタンドが意識したい3つの顧客心理として、1.一番上が店舗お勧めメニューだと認識する、2.並べる順番により割高感もしくは割安感を抱く、3.真ん中のメニューを選びたくなる、という点を見てきました。
顧客心理を理解したメニューに作り替えることは、少ない費用負担で大きな効果を得ることが可能ですので、洗車の販売に注力する際は、意識していただきたいと思います。
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