SL理論でリーダーとしてのスキルを高める方法~あるガソリンスタンド店長の失敗事例~

コラム

 この記事では、リーダーとしてのスキルを高めるために役立つSL理論について、ガソリンスタンドを題材に、解説しています。SL理論とは、部下の成熟度や状況に応じて、リーダーの行動を変えるべきとする理論です。

 この理論を理解すると、ガソリンスタンドに限らず、どんな業種や職場でも、部下との関係を良好にし、組織のパフォーマンスを向上させることが期待できます。この記事の対象者は、ガソリンスタンドの経営者やリーダーの他、業種問わず、リーダーとしてのスキルを向上させたい方や、リーダーシップに関心のある方です。

 この記事を最後まで読んでいただくと、以下のメリットがあります。

  • SL理論の背景や特徴を理解できる
  • 部下に応じた4つのリーダーシップスタイルを把握できる
  • SL理論を実践するための具体的な方法やコツを学べる

 では、本題に入って行きましょう。

■SL理論とは?

 SL理論の「SL」は「Situational Leadership」の略であり、リーダーシップの状況適合論とも呼ばれます。アメリカの経営学者であるP.ハーシーとK.ブランチャードが提唱しました。

 その内容は、部下の成長に合わせて、リーダーがどのように指示やサポートをするべきかを示すものです。まず、あるガソリンスタンドの店長の事例をご紹介します。

 その店長は、自分が決めたマニュアルやルールを守らせるために、スタッフに厳しく接していました。スタッフがミスをすると、怒鳴りつけることもありました。スタッフは、店長を恐れ、辞めてしまう人もいました。

 そんな中、彼に別のガソリンスタンドへ店長として転職しないかという話が舞い込みました。彼は、その話に応じました。そして、新しい店に行くと、マニュアルやルールを作ろうとし、スタッフにそのやり方を押し付けようとしました。

 しかし、この店のスタッフは、彼が以前店長を務めていた店舗のスタッフとは違っていました。以前の店舗は人材の入れ替わりが激しく、キャリアの浅いスタッフが多かったのですが、今回の店舗で働くスタッフの多くは、長い間働いていて、自分たちのやり方に自信がありました。彼らは、新たな店長のやり方に納得できず、反発しました。

 その結果、店の雰囲気は悪くなり、店長は、自分のやり方がうまくいかないことにイライラし、やがて、その店を辞めることになりました。

 この店長が、新しい店でうまくやれなかったのは、スタッフのレベルに合わせたリーダーシップをとれなかったからです。彼は、かつての自分のやり方が正しいと思い込んで、店舗の状況を適切に判断しないまま、同じことを繰り返しました。もし彼が、次に説明するリーダーシップをとっていたら、状況は変わっていたかもしれません。

■4つのリーダーシップスタイルと部下のレベル

 SL理論では、リーダーは、スタッフのレベルによって、以下の2つのことを考える必要があるとしています。

  • スタッフへの指示
  • スタッフへの支援

 スタッフのレベルとリーダーの指示的行動・支援的行動を組み合わせたSL理論の考え方は、下の図になります。

 上の図では、スタッフを4つのレベルに分けて、リーダーがどう接すればいいかを示しています。以下で、リーダーがとるべき具体的な行動を見ていきます。

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