24時間営業を自主的に止めた結果、本部から違約金を求められ、世論をバックに本部と交渉をしてきたセブンイレブン東大阪南上小阪店。今度は、日曜定休を本部に求めたとのことです。さすがに今回は「またかよ」と思った方が多かったのではないでしょうか。
この店舗の、営業時間短縮や日曜定休の理由は人手不足とのことでした。もし、本当に理由がそれだけであるならば、この店舗は今回のコラムで示す既存スタッフが働き続けたくなる3つの対策、そして後日のコラムで示す応募者が増加する3つの対策を正しく理解し、徹底することで、24時間営業の復活も日曜定休の廃止も可能となります。
人材を水、店舗をバケツとした場合、人材不足はバケツに人材という水が入っていない状態に例えることが可能です。では、なぜ水が入っていないのか。
理由は2つ考えられます。1つめは水を入れてもバケツの底に穴が開いていて漏れているから、2つめはそもそも注水されていないからです。今回のコラムでは、穴を塞ぐ、つまり、既存スタッフが働き続けたくなるようにする方策を見ていきます。
既存スタッフが働き続けたくなる対策1:モチベーションを高める
「かったりーし」「やってらんねー」店舗スタッフはモチベーションが下がると辞めたくなります。よってバケツの穴を塞ぐということは、店舗スタッフのモチベーションを上げるように取組む必要があります。
2015年から開始された中間管理職のスキル認定制度である「ビジネスマネージャー検定試験」の公式テキストにも取り上げられている「動機付け=衛生理論」は、アメリカの臨床心理学者であるハーズバーグが提唱したモチベーション理論です。
ハーズバーグ氏は実証研究で、人は衛生要因が満たされるとモチベーションが一定レベルまで上がり、動機づけ要因が満たされるとモチベーションは際限なく上がることを明らかにしました。
衛生要因、動機付け要因の2つの要因に働きかけることによりモチベーションが向上しますが、特に動機づけ要因を満たすことが、バケツの穴を塞ぐ効果が大きくなります。
【参考コラム】
ベテラン社員のモチベーション
年上の部下への対応
人手不足解消のための対策2:標準化を図る
標準化は、前述のモチベーション、後述の能力開発と併せて、従業員満足を高める要因のひとつです。この標準化は、マニュアルに基づく店内オペレーションの標準化だけでなく、突発的に発生した事象への対応も標準化する必要があります。そのためには、店舗スタッフの判断基準を統一化する必要があり、店舗の運営理念や経営理念を定める必要があります。
これは、企業としての強さを感じさせ、店舗スタッフの「拠り所」を定めることに繋がりますので、店舗スタッフは業務の中で「どうすればいいのか」と困ることが少なくなり、結果として定着率が高まりやすくなります。
【参考コラム】
経営理念が意味するもの
経営理念の浸透が現場にもたらした効果
人手不足解消のための対策3:早期退職を防止する
一般的に退職の多い時期は、入社して1か月以内が多い印象がありますが、その理由として、大きな失敗をしてしまった、先輩や店舗の雰囲気に馴染めない、などがあります。
特に、入社してしばらくは本人も店舗の戦力になっていないと自覚していますから、その状況で大きな失敗をさせてしまうと、自己嫌悪に陥り、退職に踏み切る可能性が高まります。
よって能力開発が重要となってきます。その手法のひとつであり、現場でのトレーニングであるOJT(オン・ザ・ジョブトレーニング)は、その教育内容や教育の仕方よりもトレーナーが新規スタッフに常に寄り添って、失敗させないことが重要です。そのためには、店長がトレーナーになるよりも、現場の最前線にいる既存スタッフがトレーナーになることが望ましいでしょう。
【参考コラム】
うまくいくOJT、うまくいかないOJT
また、先輩や店舗の雰囲気のいち早くなじんでもらうための取組みも必要です。
【参考コラム】
また辞められた…。アルバイトの早期離職を防ぐ3つの対策
今回のコラムでは、既存スタッフが働き続けたくなる対策として、1.モチベーションを高める、2.標準化を図る、3.早期退職を防止する、を挙げました。これにより、バケツの穴を塞ぎます。そして新たな水を注ぎ、バケツを満たす、つまり人手不足を克服していくことになります。
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