モチベーションを流出させない
ガソリンスタンドの軒数がピーク時から半減した今、生き残るためにはガソリンよりも利益率の高いガソリン以外の商品(油外商品)を販売していく必要があることは言うまでもありません。油外商品のほとんどは、顧客の目に触れず、差別化が困難な商品ですが、これを販売していくためには人材で差別化していく必要があります。
人材の差別化要因として重視したいのは、モチベーションです。商品知識や販売テクニックは、モチベーションがあれば身に着きますが、それがなければどんなに教え込んでも身に着かないからです。
モチベーションの上げ方も様々ありますが、意識したいのは、モチベーションを下げさせないことです。バケツに水を溜める際に穴が開いていたら水は溜まらないので、穴を塞ぐ必要があります。モチベーションが流れ出てしまう穴があったら、まずはそれを塞ぐ必要があるということです。
パフォーマンス・キラーの3類型
スタッフを激励し、指導しているつもりであっても、モチベーションを下げたり、自信を喪失させている関わりをパフォーマンス・キラーと言います。具体的には以下の3類型があります。
1.スタッフの行動を認めず、評価を下す
2.スタッフの意見を受け止めず、問題解決に走る
3.スタッフや問題に向き合うことなく、逃避する
「1.スタッフの行動を認めず、評価を下す」には、(1)批評、(2)レッテルを貼る、(3)賞賛がありますが、今回のコラムではこの3つを詳しく見ていきます。
スタッフの行動を認めず、評価を下す(1)批評
これは、物事の是非・善悪などを指摘したり、部下の発言を分析したりして、自分の評価を述べるパターンです。例えば、経営者が部下である店長に「そんなこと言ってるから販売予算が未達なんだよ」と言ってしまうパターンです。なぜ部下の店長が「そんなこと」を言ったのか、また、なぜ自分自身がその発言を「そんなこと」と捉えたのか、検討する必要があります。
大体、立場が違えば価値観が違いますから、経営者と店長は価値観が違っていて当然です。よって、相手に興味を持ち「君がそのように考えるようになったのは、どのような背景があったんだろう」などと問いかけ、どのようにして価値観の乖離を擦り合わせていくべきかを検討するべきでしょう。
スタッフの行動を認めず、評価を下す(2)レッテルを貼る
部下を個として認めないコメントをするパターンです。例えば「うちの店長連中はみんなそう言うんだよね」と言ってしまうパターンです。
店長それぞれに個性があるわけで、同様のことを言っていても、その根底にあるものが違っていたりする場合も考えられます。よって、前述の「君がそのように考えるようになったのは、どのような背景があったんだろう」といった質問が有効と言えます。
スタッフの行動を認めず、評価を下す(3)賞賛
表面的で納得感の無い、その場限りのおべんちゃらを述べてしまうパターンです。自分は暖かいところに身を置いて「寒い中、頑張ってるねー」と現場スタッフに声を掛けるパターンです。
賞賛は、受け取った側がポジティブに解釈してくれればモチベーションは上がりますが、「こっちは凍えそうなのに良い御身分ですねぇ…」などと解釈されるとモチベーションは下がってしまいます。そのリスクを回避するためには、「昨日は前年同日と比べて約30%、売上が良かったね」など事実を述べる必要があります。
今回のコラムでは、上述のパフォーマンス・キラーの類型のうち「1.スタッフの行動を認めず、評価を下す」パターンを見てきました。次回は「2.スタッフの意見を受け止めず、問題解決に走る」を詳しく見ていきます。
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