廃油引き取り業者の嘆き
ガソリンスタンドや自動車整備工場では、交換後のエンジンオイルなど廃油が排出されます。この廃油はドラム缶などに保管しておき、一定量が溜まった場合に連絡をしたり、定期的に引き取る契約をしたりして、廃油回収業者に処理していただきます。
先日、ある廃油回収業者の「汚い仕事をしているため、差別的に下に見られ、情けなくてたまりません。哀れな人生です」という嘆きに触れる機会がありました。
「こんな成績じゃ・・・」
かつて、ある高校の教師が生徒に発した「こんな成績じゃガソリンスタンドにしか就職できないぞ」という発言が業界内で物議を醸したことがありました。
私が21年間身を置いたガソリンスタンドの現場における仕事は、夏は暑い中、冬は寒い中、行う仕事です。手は汚れ、肌も荒れます。エンジンルームを整備する際は中腰になり、腰痛に悩まされます。混雑時はろくに休憩も取れず、フィールドを走り回ります。
私はこのガソリンスタンドに勤務する自分の社会的地位が低く感じ、前述の廃油回収業者の方と同じく、自分の仕事が嫌でたまらない時期がありました。「こんな仕事、辞めてやる」と幾度も思いました。
評価を他人に委ねる悲劇
前述の廃油回収業者も、当時の私も含め、自分の仕事の社会的地位が低いと言う人の特徴は、評価を他人に委ね、それが絶対と信じ切っていることです。
体が汚れる仕事をしている人は社会的地位が低いのでしょうか。そもそも、社会的地位は誰が決めるのでしょうか。何をもって地位が低いというのでしょうか。
自分の仕事の社会的地位は自分で決めて良い、ということに気付くべきでしょう。
大体、自分の仕事を「こんな仕事」と卑下する時、人はネガティブな意識になっています。ネガティブな意識になっている人は「今」を精一杯生きることができません。
廃油を引き取る仕事をしているなら、廃油を引き取る仕事を精一杯、これ以上頑張れない、というくらいやり切っているか。廃油の回収作業はもちろんのこと、取引先とのやり取り、車の運転の仕方、立ち居振る舞い、どれをとっても日本一の廃油回収業者と言えるくらいやり切れば、自ずと周囲の評価は気にならなくなってきます。
私自身、ガソリンスタンドの仕事が嫌で、さらに会社から冷遇されたことで、退職を決意したことがあります。そこで、辞める前に一花咲かせてやろうと、死ぬ気で仕事をしたことがきっかけで、大きな業績が挙がり、そこからガソリンスタンドの仕事にやりがいを感じたという経験があります。その結果、社会的地位など、どうでもよくなっていました。
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社会的地位云々より、人の役に立つような仕事をしているか。これが大事な視点だと思います。つまり、社会的地位が最底辺の職業に就いていると嘆く従業員の意識とは「自分は他人からどう見られているのか」というものだと思います。
反面、人の役に立とうとする人の意識は「自分は他人にどのように貢献できるのか」というものだと思います。当然、前者は受動的ですから、仕事の姿勢が弱く、後者は能動的ですから、仕事の姿勢は強いでしょう。その姿勢が業績にどのように影響するかは言うまでもないでしょう。
経営者としては、店舗スタッフのこのような意識が業績に影響を及ぼしていないか、定期的な面談などのかかわりを持って、確認していく必要があるでしょう。
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