関東地方の美容室で働き、ご縁があって北海道で半年前に開業したA氏は集客に苦労しています。最寄駅から徒歩8分の場所に立地、近隣には多くの美容室がある中、1人で営業をしており、リーズナブルさをウリにしています。
オープン前には、3,000枚のチラシをポスティングしましたが、それを見てご来店したのは15名ほど、初月の来客数は50名でした。
自店の店頭には黒板看板を掲示し、営業時間中も手が空けば前面道路の通行者にリーフレットを配布するとともに、近隣の異業種店にはそのリーフレットを置いていただいています。来店した顧客には紹介カードを配布し、ネットで激安クーポンも発行しました。
また、近隣には学校もありますので、家族の集客を狙って、お子様カットも1,500円で提供していますが、近くにこれを500円で提供している美容室があります。
そのような状況の中、オープンから半年後の現在、来店客は月に約80名、売上高は20万円ほど。このままでは先行きに不安を感じるとのことです。
今回のコラムでは、このような集客がうまくいかない美容室に見られる特徴を通じて、どのようにすれば集客がうまくいくのかを見ていきます。
集客がうまくいかない美容室の特徴1:告知の質よりも量に目が向く
A氏は、ポスティング、リーフレット、看板などで集客を図っていますが、その中身に関しては伺い知ることができません。重要なのは告知の量よりも、告知の質です。質の悪い告知内容で大量の告知をしても、逆効果になってしまいます。
質の良い告知にはメッセージ性があります。なぜ自分は美容師になったのか、なぜ関東で働いていながら北海道で開店することにしたのか、美容に関してどのようなポリシーがあるのかなど、自店の想いをメッセージとして告知することにより、共感した顧客の集客に繋がります。
集客がうまくいかない美容室の特徴2:再来店促進の仕組みがない
顧客の数は、初めて同店を訪れた「新規顧客」と過去に訪れて再度来店する「既存顧客」の合計です。A氏の集客手段を見ると、開店後半年を経た現在でも、新規顧客をいかに集めるかという点にのみ着目しているようです。
オープンして間もない頃は、全ての顧客が新規顧客です。その新規顧客が必ず再来店してくれるようにしなければ、顧客は増えません。新規顧客をいくら集めても、既存顧客が流出していれば、穴の開いたバケツに水を注ぐ作業と変わりません。
スタンプカード、ポイントカード、ニュースレター、次回来店時に使えるクーポン券など再来店の促進ツールは様々なものが考えられます。そのような取組みを併せて実施する必要があるでしょう。
集客がうまくいかない美容室の特徴3:価格以外の差別化が出来ていない
低価格で勝負しようとする事業者が敗退する時は、更なる低価格で挑まれ、それに追随できない時です。同店が提供している1,500円のお子様カットもそれを500円で提供する美容室の前では、顧客にメリットを与えることができません。
よって、仮に初来店のきっかけは低価格であったとしても、来店後は、価格以外の差別的優位性を発揮していく必要があります。ネットで情報の収集が容易になったとはいえ、関東地方の美容室に勤務していたという経歴は、流行の最先端に寄り添ってきたという意味で十分なブランドになり得ますし、それを活かした髪型などの提案もできるはずです。
また、ある美容室では、シャンプーの種類を豊富にしており、同じ顧客でもその日の髪のコンディションによって使うシャンプーを変えています。違う店舗では、顧客の名前と顔を忘れないようにして早期の関係性を築く努力をしたり、髪の悩みに関するカウンセリングに時間をかけたりして、差別的優位性を構築しています。
集客がうまくいかない美容室の特徴4:ネットでの情報発信をしていない
A氏がターゲットとしているのは、地域住民のようですが、地域には多くの美容室があることから、商圏を広げていくことも一考です。その際に、ポスティングのエリアを広げるなど、紙媒体に頼ると労力が大きくなりますので、インターネットの活用が有効です。
ホームページを作成し、日々髪や美容に関する情報を発信していくことにより、グーグルの検索にも引っ掛かりやすくなりますし、固定的な読者が発生すると、集客に寄与することとなります。
特に美容室は、顧客の髪型の写真や、多岐に渡る髪・頭皮の悩みに答えるという点では、ネットでの情報発信はしやすい印象があります。
今回のコラムでは、集客がうまくいかない美容室4つの特徴として、1.告知の質よりも量に目が向く、2.再来店促進の仕組みがない、3.価格以外の差別化が出来ていない、4.ネットでの情報発信をしていない、を挙げました。
A氏の美容室は新規オープンの店舗ですが、開店後数年・数十年経った美容室・理容店でも一度これらを見直してみてはいかがでしょうか。
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