その店舗で働くスタッフが無断欠勤をし、そのまま出社しなくなるなど正規の手続きを踏まずに辞めてしまうことを「飛ぶ」と言いますが、あるキャバクラで働く女性スタッフ、いわゆるキャバ嬢が飛んでしまいました。彼女は店から報復が来ないか日々、ビクビクしながら生活を送っているとのことです。
彼女自身、飛ぶことは良くないことと認識しているわけで、それは、本来なら飛びたくなかったのだけれど、飛ばざるを得なかった何らかの事情があったということです。よって店舗側としては、その事情を潰せば飛ばなくなります。
これに関連して自省を込めて書きますが、私は、ガソリンスタンドの元店長として、多くのアルバイトスタッフに飛ばれました。飛んだ理由は人それぞれですが、それらを大きくまとめた上で考えると、このコラムでこれから述べる3つの方策が有効と考えています。
退職防止策1:面接で飛びやすさを確認する
当然のことながら、退職を防止するには、退職しにくい人材を採用することが必要です。これを意識せず、単に人数合わせで採用しても、飛ばれるのがオチです。飛ばれなかったとしたら、それは単なる幸運だっただけです。
では、その見極め方として、雇用ジャーナリストの海老原嗣生氏は、以下の5つの軸を挙げています。これは、大手人材エージェントで転職活動をする若手社会人6,000人に実施した200問に及ぶアンケートの分析結果です。
情を重視/理を重視
行動を重視/思考を重視
協調を重視/競争を重視
伝統を重視/革新を重視
スピードを重視/緻密さを重視
貴店が「情」を重視する風土であるのに対して、応募者が「理」を重視するのであれば、その方は貴店を退職しやすい人材です。上記の5軸がすべて一致していれば、退職しにくい人材ですので、面接でこれらを見極める質問をしていくわけですが、ガソリンスタンドにおける具体的な質問は以下のコラムを参考にしてください。
面接官が応募者に投げかけるべき5つの質問
退職防止策2:先輩の顔と名前を早期に一致させる
新人スタッフが職場になじむことが出来ると退職しにくくなるわけですが、当然のことながら先輩である既存スタッフの名前と顔が一致せず、疎外感を抱きがちです。
そこで、スタッフルームに模造紙を貼り出し、既存スタッフの顔写真、名前、趣味、新人スタッフへの一言を掲載しておきます。これにより、新人スタッフは休憩時間を使って、先輩の名前と顔を一致させやすくなるだけでなく、先輩の人となりを理解し、不安感を和らげることが可能となります。
また、既存スタッフには、新人スタッフへの一言として、座右の銘、仕事で大事にしていること、新人時代に苦労したことなどを書かせるようにすると、仕事への意識が高まりやすくなります。
ガソリンスタンドでスタッフとして経験を積み、満タンと言われたら満タンにし、洗車を依頼されたら洗車をすれば良いという受注内容を単にさばくだけのマンネリに陥っている既存スタッフには良いカンフル剤になるでしょう。
退職防止策3:失敗させない
ある新人キャバ嬢は、接客中にたまたま手元が狂ってしまった結果、顧客に大量のビールをかけてしまい、翌日に飛んでしまいました。新人スタッフは、店舗の役に立っていないことを自覚しています。そんな中、店舗に損害を与える失敗をしてしまうと心が折れ、飛んでしまいます。
ガソリンスタンドの新人スタッフが起こす失敗で多いのは、軽自動車にガソリンではなく軽油を給油することです。軽自動車は現在、ガソリンを燃料としており、軽油を給油するとエンジンが止まります。
しかし、「軽」つながりで名前が似ていることから軽自動車に軽油を給油してしまいます。その他にも10ℓや1,000円分だけ給油依頼をされたのに満タンにしてしまう給油ミスも発生しがちです。そこで、店長含めた既存スタッフは全力でそのような失敗を防がなければなりません。
今回のコラムでは、飛んだキャバ嬢に学ぶガソリンスタンド3つの退職防止策として、1.面接で飛びやすさを確認する、2.先輩の顔と名前を早期に一致させる、3.失敗させない、を挙げました。ぜひ実施してみて下さい。その効果に驚くこととなるでしょう。
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