同社は住宅の庭や、扉・塀などのエクステリア工事を手掛けていますが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、工事業者と対面で接することを避ける顧客が増えたことや、海外資材の納入が遅れたことなどにより、売上が激減してしまいました。
そこで、新たにネット通販事業を展開することとし、小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>に申請した結果、採択という結果を得ることができました。
この結果を受け、当コラムでは同社が作成した「【様式1】経営計画および補助事業計画」の内容をもとに、採択を引き寄せたと考えられるポイントを4回に分けて探っていきます。
下図は、当補助金申請時に提出する「【様式1】経営計画および補助事業計画」の構成ですが、今回のコラムでは、下図の赤枠部分<経営計画>「1.自社の事業概要」の書き方を見ていきます。なお、当コラムの内容は2022年1月5日時点の情報に基づいています。
1. 持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>に採択された外構工事業者の計画書の書き方[自社の事業概要編]
持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>に採択された外構工事業者の計画書の書き方[自社の事業概要編](1)但し書きに忠実に書く
当補助金を申請するには、前述の「【様式1】経営計画および補助事業計画」を作成する必要があるわけですが、このフォーマットは小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>のホームページからダウンロードできます。
そして、このフォーマットの各欄には但し書きがありますが、<経営計画>「1.自社の事業概要」欄のそれは以下となっています。
※自社の概要や経営状況、課題、特徴、自らが製造・販売・提供している商品・サービスの内容や市場動向等について記載してください。また、自社の経営方針・目標等についても記載してください。
このように計画書フォーマットにわざわざ但し書きが盛り込まれた理由は、読み手が把握したい内容が何なのか、計画書を作成する事業者に理解してもらうためと考えられます。今回事例として取り上げた同社はこのことを強く意識しており、当欄に以下の見出しを設けていました。
【自社の概要】【経営状況】【自社の課題】【強み・特徴】【提供しているサービス】【市場動向】【経営方針】【目標】【今後のプラン】
「今後のプラン」という見出し以外は、前述の但し書きに対応させていることが分かります。なお同社が但し書きにない「今後のプラン」を盛り込んだのは、小規模事業者持続化補助金<一般型>の計画書フォーマットにこの記載があるため、それを反映させたものと思われます。
持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>に採択された外構工事業者の計画書の書き方[自社の事業概要編](2)自社の強みを書く
前述の但し書きには「特徴」という記述がありますが、「強み」という記述はありません。ですが、同社が【特徴】ではなく【強み・特徴】という見出しを設けた理由は、強みを活用した補助事業を展開するという意図の表れと解釈できます。
事実、日を改めて当サイトで見ていく<補助事業計画>「2.補助事業の内容」で、同社は自社の強みを活かす趣旨の内容を記載しています。なお、当補助金申請時のルールブックである公募要領内にある「審査の観点」には以下の記述があります。
上図の下線部分に着目すると、自社の強みを活用する必要性が読み取れ、同社は強みを記載することで採択を引き寄せたと考えることが可能です。
持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>に採択された外構工事業者の計画書の書き方[自社の事業概要編](3)顧客ニーズと競合動向を書く
同社は【市場動向】という見出しの下、客層・商圏などの他に、顧客ニーズと競合動向を記載しておりました。この2点は前述した「自社の強み」の妥当性を高める効果があると言えるでしょう。
どんなに自社がそれを「強みである」と主張したとしても、それが顧客ニーズに応えることのできないものであった場合、それは強みになり得ないでしょう。顧客ニーズに応えることができない以上、顧客が同社を必要とし、同社の業績にポジティブな効果を及ぼすとは考えにくいからです。
また、どんなに自社がそれを「強みである」と主張しても、それが競合他社より優れていなければ、差別的優位性が訴求できず、強みと認識させることは困難であるはずです。同社は、競合の社名や特徴を記載し、競合動向を具体的に記載していました。その競合よりも優れているからこそ「強み」と言えるわけで、比較対象となる競合を記載する意義がここにあります。
このように、顧客ニーズと競合動向を記載したことも、採択を引き寄せた要因と考えられます。
今回のコラムでは、小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>に採択される可能性を高める<経営計画>「1.自社の事業概要」の書き方として(1)但し書きに忠実に書く、(2)自社の強みを書く、(3)顧客ニーズと競合動向を書く、を述べました。次回のコラムでは<経営計画>「2.新型コロナウイルス感染症の影響・既に取り組んでいる対策」を見ていきます。
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