持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>に採択された外構工事業者の計画書の書き方④

小規模事業者持続化補助金

 同社は住宅の庭や、扉・塀などのエクステリア工事を手掛けていますが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、工事業者と対面で接することを避ける顧客が増えたことや、海外資材の納入が遅れたことなどにより、売上が激減してしまいました。

 そこで、新たにネット通販事業を展開することとし、2021年9月8日締切りの小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>第3回受付締切分に申請した結果、採択という結果を得ることができました。

 この結果を受け、当コラムでは同社が作成した「【様式1】経営計画および補助事業計画」の内容をもとに、採択を引き寄せたと考えられるポイントを何回かに分けて探っていきます。

 下図は、当補助金申請時に提出する「【様式1】経営計画および補助事業計画」の構成ですが、今回のコラムでは、下図の赤枠部分<補助事業計画>「3.補助事業の効果」の書き方を見ていきます。なお、当コラムの内容は2022年1月8日時点の情報に基づいています。

1. 持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>に採択された外構工事業者の計画書の書き方[補助事業の効果編]

持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>に採択された外構工事業者の計画書の書き方[補助事業の効果編](1)相乗効果を記載する

 補助金は様々なものがありますが、各補助金には応募時のルールブックである「公募要領」があります。小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>の公募要領は当補助金のホームページからダウンロードできますが、本事業の目的として下記の記載があります。

 ここで着目したいのは、下線部分にあるように「新たな取組み」が求められているということです。このことは、同じく下記公募要領「審査の観点」にも記載されています。

 このように、補助事業が「新たな取組み」であることが強く求められているわけですが、これを実施する際に検討したいのは、相乗効果です。つまり、その「新たな取組み」を行うことによって、これまでの取組みにどのような好影響があるのかということです。

 同社の場合はこれまでの取組みで、ある顧客層の開拓ができておりませんでしたが、補助事業により、それが可能になるという相乗効果を記載しており、このことも同社が採択を引き寄せた要因のひとつと考えられます。

持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>に採択された外構工事業者の計画書の書き方[補助事業の効果編](2)効果を数値で記載する

 効果は数値を用いて記載したほうが、その大きさを理解しやすくなります。同社の場合、効果として単に売上高が拡大するという書き方ではなく、補助事業開始から9か月間にわたって各月でどの程度の売上高が見込めるのか、具体的な数値を記載しておりました。

 さらに、売上高は客数と客単価を掛け合わせた結果ですので、見込むことのできる客数と客単価を見込み売上高の根拠として記載し、説得力を高めていたことも、同社が採択を引き寄せた要因のひとつと考えられます。

持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>に採択された外構工事業者の計画書の書き方[補助事業の効果編](3)2方向から効果を記載する

 前述のように同社は売上高が拡大するという収益向上に関する効果を記載していましたが、リスク軽減に関する効果も記載していました。具体的には、当補助事業の実施が対人接触機会の減少効果にどのように寄与するのかという点を述べていました。ここでもう一度、公募要領の「事業の目的」を見てみます。

 さらに、公募要領の「審査の観点」ももう一度見てみます。

 両図の下線部分にあるように、本補助金事業では「対人接触機会の減少」が求められています。よって、同社は収益向上に関する効果だけでなく、リスク軽減に関する効果を、根拠を用いて述べたことも採択を引き寄せた要因のひとつと考えられます。

 今回のコラムでは、小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>に採択された同社が記載した<補助事業計画>「3.補助事業の効果」から、採択のポイントとして(1)相乗効果を記載する、(2)効果を数値で記載する、(3)2方向から効果を記載する、を述べました。

 ここまで当コラムを合わせて4回にわたり、同社が採択を引き寄せた要因を見てきました。

 同社が作成した計画書の場合、全体的に公募要領の「審査の観点」と、計画書フォーマットの但し書きをしっかり踏まえているという印象を受けました。さらには、根拠を述べて説得力を向上させていたという特徴もありました。今後、当補助金の採択を狙う方の参考になれば幸甚です。

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