同社は、ガソリンやプロパンガスの販売を主たる事業としています。新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、外出を控える方が増加して車の利用頻度が減ったことから、ガソリンの販売が落ち込むようになり、売上が激減してしまいました。
そこで、新たにプロパンガス事業の非対面化で効率を向上させることとし、2021年11月10日締切りの小規模事業者持続化補助金＜低感染リスク型ビジネス枠＞第4回受付締切分に申請した結果、採択という結果を得ることができました。
この結果を受け、当コラムでは同社が作成した「【様式1】経営計画および補助事業計画」の内容をもとに、採択を引き寄せたと考えられるポイントを４回に分けて探っていきます。
下図は、当補助金申請時に提出する「【様式1】経営計画および補助事業計画」の構成ですが、今回のコラムでは、下図の赤枠部分＜補助事業計画＞「２．補助事業の内容」の書き方を見ていきます。なお、当コラムの内容は2022年1月11日時点の情報に基づいています。
1． 持続化補助金＜低感染リスク型＞に採択された燃料販売店の計画書の書き方事例［補助事業の内容編］
持続化補助金＜低感染リスク型＞に採択された燃料販売店の計画書の書き方事例［補助事業の内容編］（１）冒頭に全体像を示す
当欄は、そのタイトルが示す通り、補助事業の内容を示す欄であり、補助事業とは補助金を使って展開する事業であるはずですが、不採択事例として多いのは、この補助金を使って何をするつもりなのかが読み取れないケースです。
同社は、当欄の冒頭に「補助事業は、プロパンガス事業を非対面化するための遠隔確認・操作機器の設置である」といった趣旨の内容を記載して、補助事業は何なのか、また、その全体像を示しておりました。
これにより、読み手は補助事業の概要を早い段階で把握でき、その上で読み進めることが可能となります。結果として、補助事業の内容も理解しやすくなったことが採択を引き寄せた要因のひとつと考えられます。
持続化補助金＜低感染リスク型＞に採択された燃料販売店の計画書の書き方事例［補助事業の内容編］（２）必要な理由を示す
当欄のフォーマットは下図のようになっています。
同社はこのフォーマットに則り、上図赤枠部分の「必要な理由」について述べておりました。具体的には、同社のプロパンガス事業における顧客との接触機会が、① 検針・集金時、 ② ガスの開栓・閉栓時、 ③ トラブル発生時、であることを示し、当補助事業によって①～③それぞれにおいて、なぜ接触機会を減らすことができるのかを示しておりました。
持続化補助金＜低感染リスク型＞に採択された燃料販売店の計画書の書き方事例［補助事業の内容編］（３）スケジュールを示す
当欄には、下図赤枠部分にあるように、実施スケジュールの記載が求められています。
同社はこれに基づき、計画策定・申請・交付決定・補助事業期間・実績報告に対応させた約1年間の時間軸を横軸にとり、何を実施するのかという実施項目を縦軸にとった表を作成し、いつ何を実施するのかが分かるように記載しておりました。
さらには、補助事業実施年度を含む5年間で、何台の遠隔確認・操作機器を導入するのかというスケジュールを別の表で記載しており、短期的な補助事業スケジュールの他に、長期的な事業スケジュールも盛り込んでいたことが、採択を引き寄せた要因のひとつと考えられます。
持続化補助金＜低感染リスク型＞に採択された燃料販売店の計画書の書き方事例［補助事業の内容編］（４）実施体制を示す
当欄には、下図赤枠部分にあるように、実施体制の記載が求められています。
同社はこれに基づき、社内のどの部門がどの業務を担当するのかを示しておりました。この担当業務は、前述の補助事業スケジュールの縦軸に記載した実施事項に基づいており、内容の整合性もとれていました。
このように、単に実施体制を記載するのではなく、整合性のとれた内容を記載したことも同社が採択を引き寄せた要因のひとつと考えられます。
持続化補助金＜低感染リスク型＞に採択された燃料販売店の計画書の書き方事例［補助事業の内容編］（５）５W１Hを意識する
ここまで同社が「必要な理由」「スケジュール」「実施体制」を記載してきたことを述べました。そして当欄では下図赤枠部分にあるように「補助事業の内容（取組内容）」も求められています。
ここでのポイントとして強調したいことは「補助事業の内容（取組内容）」は「必要な理由」「スケジュール」「実施体制」以外の内容を記載するということです。
つまり、いつ（When）、だれが（Who）、なにを（What）、なぜ（Why）、どこで（Where）、どのように（How）の５W１Hのうち、「必要な理由」でなぜ（Why）を、「スケジュール」でいつ（When）を、「実施体制」でだれが（Who）を説明しているので、「補助事業の内容（取組内容）」は、なにを（What）、どこで（Where）、どのように（How）を説明するということです。
なお、５W１Hを意識して説明するべき理由については、持続化補助金【低感染リスク型ビジネス枠】計画書の書き方⑧を参考にしてください。
同社は、「補助事業の内容（取組内容）」として以下を記載しておりました。
- なにを（What）：今回の補助事業で購入する遠隔確認・操作機器の特徴について
- どこで（Where）：同社のプロパンガスを利用する顧客宅で機器を設置すること
- どのように（How）：当機器の活用により、どのようなプロセスで対人接触機会が減少するのかといった内容
このように、５W１Hを意識して具体的に補助事業を説明したことも、同社が採択を引き寄せた要因のひとつと考えられます。
今回のコラムでは、小規模事業者持続化補助金＜低感染リスク型ビジネス枠＞に採択された同社が記載した＜補助事業計画＞「２．補助事業の内容」から、採択のポイントとして（１）冒頭に全体像を示す、（２）必要な理由を示す、（３）スケジュールを示す、（４）実施体制を示す、（５）５W１Hを意識する、述べました。
次回のコラムでは引き続き、＜補助事業計画＞「３．補助事業の効果」の採択ポイントを見ていきます。
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