同社は、ガソリンやプロパンガスの販売を主たる事業としています。新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、外出を控える方が増加して車の利用頻度が減ったことから、ガソリンの販売が落ち込むようになり、売上が激減してしまいました。
そこで、新たにプロパンガス事業の非対面化で効率を向上させることとし、小規模事業者持続化補助金＜低感染リスク型ビジネス枠＞に申請した結果、採択という結果を得ることができました。
この結果を受け、当コラムでは同社が作成した「【様式1】経営計画および補助事業計画」の内容をもとに、採択を引き寄せたと考えられるポイントを４回に分けて探っていきます。
下図は、当補助金申請時に提出する「【様式1】経営計画および補助事業計画」の構成ですが、今回のコラムでは、下図の赤枠部分＜補助事業計画＞「３．補助事業の効果」の書き方を見ていきます。なお、当コラムの内容は2022年1月11日時点の情報に基づいています。
1． 持続化補助金＜低感染リスク型＞に採択された燃料販売店の計画書の書き方事例［補助事業の効果編］
持続化補助金＜低感染リスク型＞に採択された燃料販売店の計画書の書き方事例［補助事業の効果編］（１）定量・定性的効果を示す
同社は、補助事業の効果を数値で表すことのできる「定量的な効果」と数値で表すことの困難な「定性的な効果」に切り分けて記載しておりました。具体的には、定量的な効果として〇件の新規顧客が増加する見込みが立つこと、定性的な効果として新型コロナウイルスの感染リスクが低減できること、トラブル発生時の顧客対応が迅速になること、といった内容です。
定量的な記述はその「量」を、定性的な記述はその「質」を訴求することが可能であり、記述した内容の説得力を高めることに繋がりますが、このように多面的な記載をしたことは同社が採択を引き寄せた要因のひとつと考えられます。
なお、持続化補助金＜低感染リスク型＞に採択された燃料販売店の計画書の書き方事例②でご紹介した＜経営計画＞「２．新型コロナウイルス感染症の影響・既に取り組んでいる対策」欄でも、同社は新型コロナウイルス感染症の影響として、定量的な影響と定性的な影響を記載しています。
持続化補助金＜低感染リスク型＞に採択された燃料販売店の計画書の書き方事例［補助事業の効果編］（２）収益拡大・リスク低減効果を示す
前述の定量的効果は、同社の収益を拡大できるといった内容の効果です。これに対して、同じく前述の定性的効果は、リスクを低減できるといった内容の効果です。このように、収益拡大とリスク低減といった両面から効果を示すことにより、同社の業績の安定化に繋がることを記載したことも、同社が採択を引き寄せた要因のひとつと考えられます。
なお、収益拡大という効果を述べる場合は、見込むことのできる売上高と費用を述べると、より具体的な効果を訴求することができます。さらに売上高は、客数と客単価の掛け算で算出されます。同社が示していた見込むことのできる客数に加えて客単価も示し、それらを見込み売上高の根拠として示すと、より説得力が向上するでしょう。
今回のコラムでは、小規模事業者持続化補助金＜低感染リスク型ビジネス枠＞に採択された同社が記載した＜補助事業計画＞「３．補助事業の効果」から、採択のポイントとして（１）定量・定性的な効果を示す、（２）収益拡大・リスク低減効果を示す、を述べました。
2．持続化補助金＜低感染リスク型＞に採択された燃料販売店の計画書の書き方事例[まとめ]
ここまで当コラムを合わせて４回にわたり、同社が採択を引き寄せた要因を見てきましたが、そのポイントをまとめると以下となります。
同社の計画書は、内容を上手く切り分けているため、整理整頓されており、非常に読みやすい印象を抱きました。読みやすいということは、読み手の理解が深まることが期待でき、採択の可能性を高めてくれます。その読みやすさは、文章力ではなく内容の切り分けの方が重要だと考えさせられる事例です。
また、多くの計画書が「非対面型事業の展開による収益拡大」というトーンで記載されているのに対して、同社の場合は「非対面型事業の展開によるリスク低減」というトーンの計画書でした。このリスク低減が結果的に業務効率化や収益拡大に繋がるというストーリーがしっかりしている点も参考になる事例です。
これらの内容がこれから当補助金の採択を目指す方の参考になれば幸甚です。なお、同社を採り上げたこれまでのコラムは以下となります。
3．小規模事業者持続化補助金の計画書作成をサポートします
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4．メルマガ会員様募集中
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5．電子書籍のご案内（2021年3月22日発行）
小規模事業者持続化補助金に応募したくなる本
