小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>は、昨年度に創設された<コロナ特別対応型>に変わるものとして今年度に創設され、募集が始まっています。この<低感染リスク型ビジネス枠>が<コロナ特別対応型>と大きく違うのは、その補助事業の実施により「対人接触機会の減少」が実現できること、その補助事業が「新たな取組」であることが求められている点です。
ただし、応募の際に作成する計画書のフォーマットに大きな変更はありません。そこで、当コラムでは「対人接触機会の減少」「新たな取組」に該当し、<コロナ特別対応型>に採択された研修会社の事例を通じて<低感染リスク型ビジネス枠>の採択ポイントを検証していきます。
同社は新型コロナウイルス感染症の影響を受け、対面での研修実施による売上が激減してしまいました。そこで、研修をオンラインで提供するために、①講義動画の作成・オンライン配信設備の導入、②専用webサイトの構築、③オンライン研修パンフレットの作成・送付を行いたいと考えました。
結果として、それら補助事業は採択されたわけですが、今回のコラムでは<経営計画 >「1.自社の事業概要」を同社がどう書いたかについて見ていきます。
1. <経営計画>「1.自社の事業概要」の書き方
(1)構成を検討する
まず、同社は当欄の構成を検討し、①自社の概要、②沿革、③売上構成、④外部環境、⑤内部環境(自社の強み)、⑥経営方針・目標と今後のプラン、という6つの見出しを設けました。これは、小規模事業者持続化補助金<一般型>のフォーマットを踏まえたものですが、<低感染リスク型ビジネス枠>「1.自社の事業概要」には以下の但し書きがあります。
※自社の概要や経営状況、課題、特徴、自らが製造・販売・提供している商品・サービスの内容や市場動向等について記載してください。また、自社の経営方針・目標等についても記載してください。
このうち、「自社の概要や経営状況」「課題」についは、同社が設けた見出し①②の内容に含まれます。同様に「特徴」「自らが製造・販売・提供している商品・サービスの内容」については③⑤、「市場動向等」については④に含まれると解釈できます。よって、同社が設定した見出しは<低感染リスク型ビジネス枠>においても適切と言えるでしょう。
(2)自社のビジネスフローを説明する
同社が提供する研修は、社会貢献をテーマとしたものであり、一般の方がイメージしにくい内容でした。また、研修を受講する企業に対するアプローチも独特なものがあったため、前述で設けた「①自社の概要」の見出しの下には、同社が企業へアプローチを行い、研修を提供、そして受講した企業の活動といった一連のビジネスフローを盛り込みました。
まず、大前提として自社はどのようなビジネスを行っているのかを読み手に理解していただかなければ、その後にどのような内容を記載したとしても、理解を深めるハードルは高いものになってしまいます。よって、一般の方がイメージしにくいビジネスの場合、紙面を割いてしっかりビジネスフローを説明する必要があるでしょう。
(3)ビジュアルに訴求する
同社は、「①自社の概要」の見出しの下に前述のビジネスフローを図表化して盛り込みました。また、「③売上構成」には売上総額・利益総額の大きい商品・サービスの一覧表を、「④外部環境」には市場動向が分かるグラフを、「⑥経営方針・目標と今後のプラン」には今後のプランとして3年間の計画表を盛り込みました。
このように図表を盛り込むことは、文章だけの説明と比較して理解しやすくなります。もっとも<低感染リスク型ビジネス枠>の計画書は5枚以内でまとめる必要がありますので、図表の多さと計画書の枚数のバランスを検討する必要があります。
このようにして同社は<低感染リスク型ビジネス枠>「1.自社の事業概要」に該当する部分を記載していきましたが、次回のコラムでは「2.新型コロナウイルス感染症の影響・既に取り組んでいる対策」に該当する部分を見ていきます。
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