夫のギャンブル癖を発見した妻
仮に、ある夫婦において、夫がギャンブルで大損したことを妻が知り、烈火のごとく怒り、夫を罵倒したとします。そこで、夫は妻に隠れてギャンブルをするようになりましたが、そのことを妻が知り、また烈火のごとく怒り、夫を罵倒します。ギャンブルを止めるつもりの無い夫は、妻にバレないように、今までよりも慎重にギャンブルを続けます。
その後、その妻は、最近、夫との会話が少なくなり、何か隠し事をしているのではないかと感じるようになります。そこで、色々と話しかけたり、何となく納得のいかない回答に関しては、隠し事を暴こうと、様々なツッコミを入れたりするようになります。
そんなある日、その妻は夫から離婚を切り出されました。妻にとっては寝耳に水です。理由を問うたところ「君との生活は息苦しい」とのこと。この夫は、いまだにギャンブルを続けていました。この場合、ギャンブルを止めることのできなかった夫の我儘としてこの話を片づけて良いものなのでしょうか。妻の接し方に問題はなかったのでしょうか。
スタッフのサボりを発見した店長
その日、そのガソリンスタンドは、店長と男性アルバイト2名、女性アルバイト1名の計4名で店舗運営をしていました。人員は決して充足しているとは言えません。そんな中、急遽、店長が顧客の事務所に行かなければならなくなり、30分ほど店舗を離れることになりました。
その旨をスタッフに告げ、店長は顧客の事務所に車で向かいました。途中で店舗に忘れ物をしたことに気付き、引き返したところ、男性スタッフ2名が勤務中にもかかわらず、お客様用の待合室でジュースを飲んでくつろいでいました。
店長は烈火のごとく怒りました。上司の目を盗んで、それも従業員の休憩室ではなく、お客様用の待合室で休憩するとは何事か、と。
ほどなくして、この部下2名は、職場に来なくなり、この店長は今まで以上にシフトの作成で苦労するようになりました。この場合、ルール違反をした男性スタッフ2名の我儘としてこの話を片付けて良いものなのでしょうか。店長の接し方に問題はなかったのでしょうか。
人には裏の顔があることを認識しておく
ギャンブル癖のある夫を端から罵倒するのではなく、家計を預かる妻としては、現在の家計状況がどのようなっているのかを開示し、ギャンブルが家計に及ぼす影響、そして、ギャンブルへの支出に関する許容範囲を示し、少しずつギャンブルから手を引いてもらうことにより、夫のギャンブル癖がなくなる可能性が高まります。
店長の目を盗んでサボろうとするスタッフを頭ごなしに叱りつけるのではなく、当店の休憩ルールは厳しすぎるのか、労働が過酷なのか、など現状の認識をヒアリングします。その上で、サボらないために上司ができることは何なのか、自身のサボりが顧客や他のスタッフにどのような影響を及ぼすと考えるのか、といった今後の行動を検討ことにより、認識が改まり、今まで以上の戦力となる可能性が高まります。
人には、多かれ少なかれ裏の顔があります。相手の裏の顔が垣間見えた時、それが自分の価値観と相容れないものであればあるほど、それを頭ごなしに否定したくなります。しかし、否定されても相手との関係を継続しようとするならば、そのような対応を受けた側は、隠れて、目を盗んで行動するようになります。結果として本音を明かすことはなくなり、信頼関係が揺らいでくるようになるでしょう。
相手の裏の顔を無くし、自分好みの人間に仕立て上げることは容易ではありません。定着率が高い職場の責任者が心がけるべきスタッフとの接し方は、スタッフの裏の顔を無くすことに留意するよりも、裏の顔があっても、それによる悪影響を無くすことに留意した接し方と言えるのではないでしょうか。
相手の裏の顔が垣間見えた時こそ、信頼関係を構築するチャンスなのかもしれません。
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