私が長年愛用していた腕時計が死亡しました。
この時計、まず昨年の夏に1度、動かなくなりました。電池切れだろうと思い、地元の時計店A店で電池交換をして復活しました。それから1年を待たずして、今月早々に動かなくなっていました。電池切れにしては、少し間隔が短いなと思いつつ、昨年と同じ時計店A店で電池交換をしてもらいました。
そして先日、出張の際に宿泊したホテルで動かなくなっていました。そこで、天寿を全うしたと判断し、出張先で探し当てた時計店B店に新品を買いに行きました。
A店B店、どちらも昔ながらの個人で経営している典型的な「街の時計店」でしたが、両店の対応から街の時計店がリピーターを失い、どんどん減っている理由が見えた気がしました。今回のコラムでは、その理由を見ていきます。
1.時計店が経営を厳しくしている理由
時計店が経営を厳しくしている理由(1)アドバイスがない
前述した私の地元にある時計店A店に2回目の電池交換をしに行った時のことです。入店すると店主とその妻と思しき女性が店内におり、その女性は常連客とおしゃべりに勤しんでいました。店主に電池交換を依頼し、待つこと数分、電池を交換された私の腕時計が手渡され、会計をして私は退店しました。
その一連のプロセスの中で、店主が発した言葉は、入店時の「いらっしゃい」、電池交換を請けた際の「わかりました」、会計の際の「1,000円になります」、この3つだけでした。
その電池交換をしてから間もなく腕時計が死亡したわけで、店主がこの電池交換時にその兆候を見抜くことができなかったのか、見抜いていたらなぜ教えてくれなかったのか、という想いが湧きます。
あの時に、時計のプロから見た腕時計のくたびれ具合や、最新モデルの紹介などの会話があれば、つまり時計店としての専門性をアピールできていたら、私は出張先で腕時計が死亡しても、地元のA店で買っていたかもしれません。
時計店が経営を厳しくしている理由(2)次の顧客への配慮がない
この2回目のA店における電池交換時の話です。私が電池交換を待っている時に、別の顧客が入店してきました。ですが、店主の電池交換作業に、妻と思しき女性は常連客とのおしゃべりに没頭し、入店客に対しては、ほとんど無視の状態でした。
また、出張先の時計店B店では、購入した腕時計の金属ベルトの長さを調整してもらうために待っている時に、別の顧客が入店してきました。ですが、店主はやはり無視の状態でした。
両者とも顧客の存在が分かる位置で作業しているにも関わらず、です。この場合、後で入店して来た顧客は気まずい思いをするわけですが、それだけでなく、作業終了を待っている先客の私は、店主に「お客さんですよ」と声を掛けるべきかどうか困惑します。そのような居心地の悪さを感じると、やはり再来店はしなくなるでしょう。
時計店が経営を厳しくしている理由(3)都合の悪いことは隠す
出張先の時計店B店で、新品の腕時計の会計を済ませた時の話です。店主は私に保証書を渡そうとしませんでした。腕時計をそのまま着けたかったので、パッケージの空箱は荷物になるので不要ですが、メーカーの保証書はやはり貰っておきたいところです。
その旨を伝えると「時計に不具合があった場合に連絡いただければ対処するので、名前と電話番号を書いてください」とメモ用紙とペンを渡されました。どうやら顧客リストに私の名前と電話番号を記録し、連絡があったら対応するということのようです。
なぜメーカーの保証書を渡さないのか。これには理由がありました。この腕時計を購入し、退店した私は、移動中の車内でこの時計についてネットで情報収集をしたわけですが、かなり昔に発売されたモデルで、メーカーは修理対応を打ち切っている、つまりメーカー保証がないのです。
にもかかわらず出張先の時計店では、それを隠し定価で私に販売したのです。正直にメーカー保証がないことを明かし、それを補う付加価値を与えれば、信用は失うことはなかったはずですが、B店の対応は結果としてリピーターを減らすでしょう。
時計の電池交換は、今や時計店以外でも実施していますし、腕時計そのものはネット通販が安価に提供しています。スマートフォンの普及により、腕時計以外での時間の確認もしやすくなりました。
しかし今回、時計店が経営を厳しくしている理由として見てきた、(1)アドバイスがない、(2)次の顧客への配慮がない、(3)都合の悪いことは隠す、といったことを見てしまうと、外部環境だけが時計店を減らしたとは思えないわけです。
どこの時計店もそのようなことをしているとは思いませんが、厳しい時代だからこそ、街の時計店は訪れた顧客との関係性を構築し、信用を得ることが生き残る秘訣なのではないでしょうか。
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