モチベーションにフォーカスした質問
モチベーションが上がったということは、行動が変わっていなければなりません。モチベーションが上がっても、行動が変わっていないのであれば、モチベーションを上げた意味がありません。
例えば、ガソリンスタンドで働くスタッフのタイヤ販売に対するモチベーションを向上させたなら、今まで以上にタイヤの空気圧点検の台数が増加するという行動量の変化や、今まで以上にニコニコ・キビキビ・ハキハキした接客という行動の質の変化が見られるはずです。
このような当然のことは、上司として認識しているはずですが、それでも「部下の行動を変えるにはどうしたらいいですか」という質問が皆無であるのに対して「部下のモチベーションを上げるにはどうしたらいいですか」という質問が多いのは、なぜなのでしょう。
強制ではなく自発的に動いてほしい
昨今、年上の部下を持つ上司が増加してきた印象がありますが、そのような質問をされる上司の方々は、年上の部下に行動変容を強制しにくく、自主的に行動を変えて欲しいと考えているのでしょう。
特に、人材不足に喘ぐ職場において、年上の部下が上司からの強制によって不満を持ち、辞められてしまうことを防ぎたいという意識もあるのでしょう。
よって、自発的に動きたくなる様々なアプローチをしていく必要がありますが、そのひとつをご紹介します。
他人への影響を伝える
病院において、医師や看護師に手洗いを促進させようと考えた事務局は、洗面所に貼り紙をすることとしました。その貼り紙の内容ですが、以下の2パターンのうち、どちらが高い効果を示すと思われますか?
パターンA「手の清潔さは、あなたを病気から守ります。」
パターンB「手の清潔さは、患者を病気から守ります。」
このペンシルバニア大学のアダム・グラントとデビット・ホフマンが行った実験結果は以下の通りです。
パターンAの場合、手洗いの頻度も石鹸の使用量も変化はありませんでした。
パターンBの場合、手洗いの頻度は10%増加、石鹸の使用量は45%増加しました。
このことから言えることは、その人の行動が、他人にどのような影響を及ぼすのか、という点を伝えると行動は変わりやすい、ということです。これは、人間は他人の役に立ちたいという意識があるからではないでしょうか。
これを、冒頭のガソリンスタンドで働くスタッフにどのように活用するべきかを考えます。
妥当性の論理
以下の貼り紙をスタッフの休憩室に貼ったとします。どちらが高い効果を示すでしょうか?
パターンA「タイヤの空気圧点検を行って、よいボーナスをもらおう!」
パターンB「タイヤの空気圧点検を行って、お客様へ安心を提供しよう!」
パターンAの場合、スタッフの思考として、「最近、タイヤの空気圧点検はサボり気味だな」→「でも、年末にボーナスは出てた」→「今度もそれなりに出るだろう」→「だからタイヤ点検しなくてもいいや」という流れが考えられます。
パターンBの場合、スタッフの思考として、「最近、タイヤの空気圧点検はサボり気味だな」→「サボらず点検すれば顧客は安心するだろう」→「だからタイヤ点検してみよう」といった妥当性の論理が働きやすくなります。
以上より、動かない年上の部下のモチベーションを上げるには、本人のメリット・デメリットを伝えるのではなく、他人への影響を伝えることも一つの方法と言えるでしょう。
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