売上減少が止まらない雑貨店の店主が毎日仕事に追われる原因とは

経営の姿勢

 「緊急ではないが重要な仕事」から目を逸らし続け、「緊急かつ重要な仕事」ばかりを行っていると、仕事に追われることになります。それは「緊急ではないが重要な仕事」をしないと「緊急かつ重要な仕事」がなくなる可能性が低いからです。

 仕事には、緊急な仕事と緊急でない仕事があります。また、重要な仕事と重要でない仕事があります。緊急か否かを横軸に、重要か否かを縦軸にとったマトリックスを作ると冒頭の図のように4つの象限が現れます。これをアイゼンハワーの原理といいます。

 そして、それぞれの象限に分類される仕事とどのように向き合うかにより、仕事に追われるのか、仕事を追うのかが決まってきます。

 今回のコラムでは、冒頭の図【Bゾーン】に該当する緊急ではないが重要な仕事にフォーカスする重要性について見ていきます。

仕事に追われる店主

 「数年後の自店の状況など考えている余裕などありません」

 これは、先日ご面談をした雑貨店の実質的な店主の発言です。今後公募が予定されている小規模事業者持続化補助金の申請準備もしなければならない、今年10月に予定されている消費税率引上げへの対応もしなければならない、食料品も扱っているので軽減税率の対応もしなければならない、売上が減って人材も少なくしたので自分が接客もしなければならない…

 つまり、冒頭の図【Aゾーン】に振り回されており、中長期的な視点で自店を捉えることなど不可能である、と言っているのです。なぜ、この店主はこのような状況に陥ってしまったのでしょうか。

なぜ仕事に追われるようになったのか

 このコラムを書いているのは、2019年4月15日です。前日4月14日という日は、あなたにとって100点満点のうち何点だったか考えてみてください。
 仮に80点だったとして、その80点は狙った80点ですか?結果としての80点ですか?と問うた場合に、多くの方は結果としての80点だと言います。

 2019年4月14日に100点を獲得するべく、3年前の2016年4月14日から準備をして迎えた2019年4月14日と、行き当たりばったりで迎えた2019年4月14日では、おそらく前者の方が得点は高いでしょう。また、その準備を通じて今後、得点を上げるノウハウも身に付いているはずです。

 つまり、仕事に追われる2019年4月14日を作り出したのは、事前の準備をせず、行き当たりばったりの仕事を続けてきた自身がもたらした結果であるということです。この姿勢を改めない限り、これからも仕事に追われる状況が続くだけでなく、売上も減少し、店舗存続の危機に陥ってしまうでしょう。
 なぜなら、今までも仕事に追われる状況が続いて、売上が減少してきているからです。

 そこで、冒頭の図【Bゾーン】に該当する緊急ではないが重要な仕事に取組んで【Aゾーン】に該当する緊急かつ重要な仕事の発生を抑える取組みが重要となります。

 とはいえ、【Aゾーン】の仕事をないがしろにして【Bゾーン】の仕事を優先させるわけにはいかない。【Bゾーン】の仕事をしなければならないのは分かるけれども、【Aゾーン】の仕事があるからできない、という主張があります。

その優先順位は正しいのか

 この店主とのご面談は午後に実施したのですが、私は、この店主に「今日は昼食を摂りましたか」と伺ったところ、30分ほどかけて昼食を摂ったという回答を得ました。

 つまり、この方は、【Bゾーン】の仕事をすることよりも、昼食の方が優先順位は高かったということです。ここで昼食を摂るな、と言う気は毛頭ありません。しっかり自分の生活や働きぶりを見直していけば、【Bゾーン】の仕事をするための30分程度の時間は捻出できる、ということです。

 緊急ではないが重要な仕事は、中長期的な視点を含むものが多いはずです。自分がやらなければならない仕事、やるべき仕事を全て洗い出し、冒頭のアイゼンハワーの原理に基づいて分類し、【Bゾーン】の仕事を1日30分でいいから手を付けていく。そんな一歩が将来の自店を大きく変える可能性を秘めていることに気付かねばなりません。

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