同社は、2021年9月8日締切りの小規模事業者持続化補助金【低感染リスク型ビジネス枠】第3回受付締切分に申請したものの、不採択という結果になってしまいました。当コラムでは、同社が記載した「【様式1】経営計画および補助事業計画」の内容をもとに不採択になった理由を検討し、どのようにすれば採択されるのか、そのポイントを探っていきます。
下図は、当補助金申請時に提出する「【様式1】経営計画および補助事業計画」の構成ですが、今回のコラムでは、要注意!持続化補助金【低感染リスク型ビジネス枠】計画書の書き方②に引き続き、下図の赤枠部分<経営計画>「2.新型コロナウイルス感染症の影響・既に取り組んでいる対策」の書き方を見ていきます。なお、当コラムの内容は2022年1月2日時点の情報に基づいています。
1. 持続化補助金【低感染リスク型ビジネス枠】計画書の書き方(新型コロナウイルス感染症の影響・既に取り組んでいる対策編)
持続化補助金【低感染リスク型ビジネス枠】計画書の書き方(新型コロナウイルス感染症の影響・既に取り組んでいる対策編)(1)当欄を影響と対策に切り分ける
当然のことではありますが、当欄は「新型コロナウイルス感染症の影響・既に取り組んでいる対策」を書く欄です。そして同社が当欄に記載してこられた内容は、テレワークを行っていることとホームページを作成しているというものでした。この内容は「既に取り組んでいる対策」ではありますが、「新型コロナウイルス感染症の影響」に関しては何の記載もありませんでした。
このように求められている内容を書いていない場合、やはり審査で高い評価を得ることは困難と言えるでしょう。そこでこのようなミスを防ぐために、求められていることをもらさないように見出しを設けることをお勧めしています。
当欄のタイトルは「新型コロナウイルス感染症の影響・既に取り組んでいる対策」ですから、まず、見出しとして【新型コロナウイルス感染症の影響】【既に取り組んでいる対策】を設け、各見出しに応じた内容を記載すると良いでしょう。
持続化補助金【低感染リスク型ビジネス枠】計画書の書き方(新型コロナウイルス感染症の影響・既に取り組んでいる対策編)(2)影響は数値で述べる
同社が記載していなかった「新型コロナウイルス感染症の影響」ですが、これを記載する場合は、数値を用いるとその影響の大きさを訴求することが可能です。例えば、売上が10%減少した場合と100%減少した場合では、後者の方が大きな影響を被ったことが分かります。
新型コロナウイルス感染症の影響として、例えば「顧客ニーズの変化」などという数値で表わすことが困難な影響を述べても構いませんが、数値で表わすことのできる影響を盛り込むことは、説得力がより高まると言えるでしょう。
持続化補助金【低感染リスク型ビジネス枠】計画書の書き方(新型コロナウイルス感染症の影響・既に取り組んでいる対策編)(3)補助事業との関連を意識する
繰り返しになりますが、同社が当欄に記載してこられた内容は、テレワークを行っていることとホームページを作成しているということでした。「既に取り組んでいる対策」として、この2つの内容は採択にポジティブな影響を及ぼすものと考えられます。
というのも、テレワークを行っているという取組みは、新型コロナウイルス感染症を拡大させないためであり、これはリスク回避を目的とした取組みです。また、ホームページを作成しているという取組みは、売上回復のためであり、これは収益確保を目的とした取組みです。
このように、リスク回避と収益確保の両面から対策を検討して取り組んでいることは、視点にモレがなく妥当性があると言えるでしょう。ただし、これらの対策をより強化するために補助事業を実施したいというストーリーがありませんでした。
例えば、自社の強みを活かした商品があり、非対面で商談をしたいという顧客ニーズがあったとします。そして既に取り組んでいる対策がホームページの作成である場合、自社商品の特徴をより訴求できる動画の制作を補助事業とし、その動画をホームページに掲載したいということであれば、計画書全体に整合性が生まれます。このような計画書のストーリーを意識することで採択の可能性が高まると言えるのではないでしょうか。
今回のコラムでは、小規模事業者持続化補助金【低感染リスク型ビジネス枠】計画書の「新型コロナウイルス感染症の影響・既に取り組んでいる対策」の書き方として、(1)当欄を影響と対策に切り分ける、(2)影響は数値で述べる、(3)補助事業との関連を意識する、を挙げました。次回のコラムでは<補助事業計画>「2.補助事業の内容」の書き方を今回の事例をもとに見ていきます。
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