同社は、2021年9月8日締切りの小規模事業者持続化補助金【低感染リスク型ビジネス枠】第3回受付締切分に申請したものの、不採択という結果になってしまいました。
当コラムでは、同社が記載した「【様式1】経営計画および補助事業計画」の内容をもとに不採択になった理由を検討し、どのようにすれば採択されるのか、そのポイントを何回かに分けて探っていきます。
下図は、当補助金申請時に提出する「【様式1】経営計画および補助事業計画」の構成ですが、今回のコラムでは、要注意!持続化補助金【低感染リスク型ビジネス枠】計画書の書き方④に引き続き、下図の赤枠部分<補助事業計画>「3.補助事業の効果」の書き方を見ていきます。なお、当コラムの内容は2022年1月4日時点の情報に基づいています。
1. 持続化補助金【低感染リスク型ビジネス枠】計画書の書き方(補助事業の効果編)
持続化補助金【低感染リスク型ビジネス枠】計画書の書き方(補助事業の効果編)(1)書くべきことを書く
当欄は「補助事業の効果」を書く欄です。つまり、補助金を使うことでどのようなポジティブな影響が発揮されるか、その内容を書く欄です。これに対して、当欄に同社が記載してこられた内容の中に、3年間の収支計画がありました。
そのような収支を実現できるという論調で記載するのであれば「補助事業の効果」と呼ぶことができるかもしれませんが、単に3年間の収支計画表を盛り込むだけでは、読み手が「補助事業の効果」として認識できないリスクが発生してしまいます。よって、書くべきことは計画ではなく「補助事業の効果」であることを意識する必要があります。
持続化補助金【低感染リスク型ビジネス枠】計画書の書き方(補助事業の効果編)(2)具体的かつ丁寧に書く
同社が当欄に記載された内容には「新事業に打って出ることが可能になる」というものがありました。ですが、この新事業が何なのか説明がなく、補助事業を行うとなぜ新事業に打って出ることが可能になるのかが読み取れませんでした。
おそらく同社の頭の中では、補助事業と新事業は結びついているのだと思いますが、読み手は同社に縁もゆかりも関心もありません。そんな読み手に「補助事業の効果」を理解していただくには、その新事業が何なのであるか具体的に示し、補助事業との関連を丁寧に記載する必要があるでしょう。
持続化補助金【低感染リスク型ビジネス枠】計画書の書き方(補助事業の効果編)(3)因果を丁寧に繋ぐ
同社の補助事業はシステム構築ですが、同社が補助事業の効果として記載された内容にはデータの流出リスクが軽減できるというものがありました。ですが、補助事業の実施によってなぜそれが実現できるのかが読み取れませんでした。そこで、システム構築によって何が起こって、データの流出リスクが軽減できるのか、間に説明を挟み、因果を丁寧に繋がないと読み手の理解は深まらないのではないでしょうか。
例えばシステム構築によって、限られた従業員だけがデータにアクセスできるようになることから、データの流出リスクが軽減できるという形で、システム構築による直接的な効果、もしくはデータの流出リスク軽減の直接的な要因を挟む必要があるということです。
ただ、ここで留意したいのは<経営計画>「2.新型コロナウイルス感染症の影響・既に取り組んでいる対策」欄に記載した「影響」を排除もしくは希薄化できる効果、「対策」をより強化できる効果があれば、計画の整合性が高まり、それは説得力強化に繋がるということです。
持続化補助金【低感染リスク型ビジネス枠】計画書の書き方(補助事業の効果編)(4)矛盾がないか検証する
同社が当欄に記載された内容には「顧客ニーズに対応できる」というものがありました。ですが、当欄を読み進めていくと「顧客ニーズに対応する営業から積極的に売込む営業にシフトできる」という内容の記載がありました。
これは、補助事業の実施によって顧客ニーズに対応できるという効果がありながら、その効果を否定して、新たな営業方法にシフトできるという効果があると読むことができ、矛盾しているように感じました。このような矛盾をはらんだ内容は読み手の混乱を招きがちで、結果として不採択を引き寄せるリスクを高めてしまいます。
実際に不採択になった計画書からその想定理由を全5回のコラムで探ってきましたが、今回のコラムでは、小規模事業者持続化補助金【低感染リスク型ビジネス枠】計画書の「補助事業の効果」の書き方として(1)書くべきことを書く、(2)具体的かつ丁寧に書く、(3)因果を丁寧に繋ぐ、(4)矛盾がないか検証する、を挙げました。
なお、今回の事例を取り上げたコラムは、当コラムを除いて以下となりますので、採択を目指す方の参考になれば幸甚です。
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