来月1日より、消費税率が8%から10%に引き上げられる予定です。そんな中、先日あるガソリンスタンドの前を通ったところ、増税前の駆け込み需要を取り込むべく、タイヤキャンペーンを実施していました。
店頭にタイヤメーカーのテントを張り、通常よりも多めにタイヤを陳列し、タイヤの交換は増税前がお得であることをのぼりでアピールしていたわけですが、店内の雰囲気から察するに、タイヤはさほど売れていないようです。
消費税率の引上げを控えずとも、これまで多くのガソリンスタンドが、バッテリーやオイル、タイヤといったガソリン以外の商品である油外商品のキャンペーンを実施してきましたが、成功した事例はさほど多くない印象です。
今回のコラムでは、この油外商品のキャンペーンを成功させるためにどうすればよいのかを見て行きます。
油外商品のキャンペーンを成功させる方策1:買い方を認識する
商品は、顧客の購買の仕方によって、最寄品、買回品、専門品に分類することが可能です。
最寄品は、価格が安く、購買頻度が高いため、購買に時間をかけません。シャンプーやコーヒーなどの日用品が該当します。
買回品は、購買頻度が最寄品ほど高くなく、品質や価格などの比較に時間をかける商品であり、衣料品や家電製品が該当します。
専門品は、高額品であり、購買頻度は買回品より低く、品質や価格、デザイン、性能などをしっかり比較して購買する商品であり、車や宝石が該当します。
ガソリンスタンドで扱う最寄品は、ガソリン、軽油といった燃料油が該当しますし、買回品は、洗車が該当するでしょう。そして、専門品は、洗車を除く油外商品が該当するでしょう。
繰り返しになりますが、専門品は、品質や価格、デザイン、性能などをしっかり比較して購買する商品ですから、安易な値引きやプレゼントで売れる可能性は高くありません。これに対して、最寄品は安くすれば、また、プレゼントをつければどんどん売れていきます。ティッシュ5箱プレゼントによるガソリンの増販策がうまくいくのはこれが理由のひとつです。
よって、冒頭のガソリンスタンドのように、タイヤという専門品のキャンペーンを実施するならば、専門品の特徴を踏まえる必要があります。そして、専門品ならではの次に示すような準備を周到に行う必要があります。
油外商品のキャンペーンを成功させる方策2:見込み客を探す
タイヤキャンペーンの期間中に給油目的で来店した顧客が店内のタイヤ交換の行列を目にした場合、自分のタイヤも大丈夫かと思う可能性が高まります。
よって、タイヤのキャンペーンを行うなら、キャンペーン期間にタイヤ交換をしに来ていただける顧客を確保する必要があります。そのためには、事前にタイヤの点検を徹底的に行って、交換するべき摩耗したタイヤを見つけ、交換するならキャンペーン期間の方がお得であることを知らせましょう。
なお、知らせただけでは忘れてしまいますので、キャンペーン期間中のチラシや見積書などを渡しておきます。これにより、顧客は他店と比較をすることも可能となります。
このようにキャンペーン期間の顧客を獲得するために点検を強化するわけですが、この場合、点検強化期間のタイヤの売上が上がらないことになります。そこで、この点検強化期間にも売れるように、その前から点検を強化させておき、点検強化期間に売れるようにしておきます。
油外商品のキャンペーンを成功させる方策3:何がお得なのかを訴求する
冒頭のガソリンスタンドは、店舗の前を通るとタイヤのキャンペーンを実施していることは分かるのですが、そこでタイヤを交換すると何がお得なのかが一切不明な状況となっていました。
のぼりにあるように、増税前に買えばお得なのは分かりますが、それはキャンペーンをしなくてもお得なわけです。キャンペーン期間にタイヤを交換すると割引が受けられるのか、プレゼントがもらえるのか、もっと違う特典があるのか。そのようなお得感を訴求することなく、単にキャンペーンを実施してもそれが成功する可能性は高くはありません。
今回のコラムでは、油外商品のキャンペーンを成功させる方策として、1.買い方を認識する、2.見込み客を探す、3.何がお得なのかを訴求する、を挙げました。キャンペーンは事前準備で大方の結果が決まってしまうものです。今後、キャンペーンの開催を検討する場合にはぜひこの3つの方策を意識していただきたいと思います。
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