コロナ禍の中、日々ブログを更新して情報発信をしている雑貨店の経営者からネット通販に関するアドバイスを求められました。同店は、ブログを見た顧客から商品のお取り置きや通信販売の依頼を受けても、基本的に店頭でしか販売しない姿勢を貫いています。
これは、わざわざ店頭にお越しいただいた顧客をもてなしたいという意識が背景にあるためですが、顧客からネット通販の要望が高まってきており、その声は無視できなくなってきました。そこでご相談いただいたわけですが、結論としてはネット通販に精力的に進出するべきでしょう。
ただし、単に顧客から要望があるからとか時代の流れだからとかではなく、今回のコラムでは、少し突っ込んでその理由を見ていきます。
1.コロナ禍の雑貨店がネット通販を始めるべき理由
理由1:「密集」「密接」を避けるため
かつて、多くの小売業の課題は「いかに集客力を高めるか」というものでした。ですが、集客力が高まると新型コロナウイルスの集団感染を引き起こすとされる「密閉」・「密集」・「密接」の「3密」のうち、「密集」・「密接」が発生しがちとなります。
総務省が2020年7月7日に公表した「家計消費状況調査」によると、同年5月のネット通販利用世帯(2人以上の世帯)の割合は50.5%となっており、前年同月比で8.2ポイント増えました。つまり、消費者心理として「密集」・「密接」を回避するためにネット通販を活用する世帯が増えたと捉えることが可能です。
また、店頭で働く従業員にとっても、ネット通販により店頭に殺到する顧客が減ることで、新型コロナウイルスの感染リスクが低下することとなります。
理由2:店頭販売の落ち込みを補完するため
日用品、食料品、服飾品など様々なジャンルを取り扱っている同店ですが、今回の新型コロナウイルスの影響により、衣類の販売が激減しました。外出自粛が要請され、出かける際に着る洋服の需要が低下したことや、試着や採寸など店舗スタッフとの密な接触を敬遠したことも衣類の販売不振の一因と言えるでしょう。
そこで、インターネットで衣類を販売することにより、後者の理由は潰すことが可能となります。実際にアパレル関連もリアル店舗は業績が厳しく、撤退の事例があちこちで見られますが、ネット通販においては、以下のように好調な事例を目にします(出典:帝国データバンク2020年4月15日リリース)。
・BEAMS、SHIPSとともにセレクトショップの御三家と呼ばれるユナイテッドアローズの3月度における全店のネット通販売上高は前年同月比23.8%増。
・カジュアル衣料品および雑貨を中心としたSPAブランドを展開するアダストリアは、3月度ネット通販売上高は前年同月比10%超の増加。
・子供向けアパレル事業を行うナルミヤ・インターナショナルの3月度ネット通販売上高は前年比2桁増。
・企画、製造、小売を一貫して行うSPAモデルを構築した日本有数の大手アパレルメーカー、ワールドの3月度ネット通販売上高は前年比12.9%増。
・老舗アパレル企業、レナウンの3月度におけるネット通販売上高は、前年比2桁増。
・自社ブランドに加え、海外の様々なブランドともライセンス契約を結び販売しているアパレルメーカー、三陽商会のネット通販売上高は前年比15%増。
これらの情報のリリース時期は春先でしたが、この伸びが急減しているとは考えにくく、コロナ禍でのアパレルのネット通販は有望市場と言えるでしょう。
理由3:商売の整合性をとるため
もし、店頭で顧客に商品のご案内や説明をしたとして、その商品はネットでしか買えない状況だとしたら、顧客は「店頭で説明しているのに、何故店頭で買えないのか」と感じて不満足度を募らせるはずです。これは、説明の場所と買い物の場所が一致していないからです。
今回の事例で取り上げた雑貨店は、ブログを見た顧客からの問い合わせをメールで受け付け、その回答とともに来店しなければ買えないことをご案内しています。このことは「ネットで説明しているのに、何故ネットで買えないのか」と思う顧客が発生する可能性を高めます。
そのような整合性のとれていない商売は、上述のように顧客不満足度を高め、客離れを促しますから、ネットで情報発信するのであれば、ネット通販に取組むべきと言えるでしょう。
今回のコラムでは、コロナ禍の雑貨店がネット通販を始めるべき3つの理由として、1.「密集」「密接」を避けるため、2.店頭販売の落ち込みを補完するため、3.商売の整合性をとるため、を挙げました。
なお、ネット通販サイトを構築する際は、その費用の4分の3、上限100万円を補助する小規模事業者持続化補助金<コロナ特別対応型>の活用をお勧めします。
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