ガソリンスタンドのレジに本来あるべきはずの現金が、数えてみたら足りない。こういう場合にどうするかで、残念なガソリンスタンドなのか、そうでないかが窺えます。
残念なガソリンスタンドはレジ金の不足金額がさらに大きくなり、また、人材の流出を招きます。残念ではないガソリンスタンドは、スタッフの心理を踏まえ、再発防止策をとります。今回のコラムでは、この金銭管理で残念なガソリンスタンドを見ていきます。
レジ金過不足の対応が残念なガソリンスタンド1:情報を全スタッフで共有しない
現金売上高とレジ金が一致しているかどうかを確認し、過不足が出た場合、店長や一部の社員だけがその情報を共有していて、アルバイトスタッフがそのことを知らないガソリンスタンドは残念です。当然のことながら、アルバイトスタッフもレジ金を触りますから、彼ら彼女らともその情報を共有することが必要です。
あるガソリンスタンドでは、現金売上高と現金在高を照合する都度、過不足が出ようと出るまいと、その結果をシフト表の貼られたスタッフルームのホワイトボードに記入して、全スタッフで共有することにしました。
これにより、何時から何時までにいくらの誤差が出たか、全スタッフが分かります。その時間帯に誰が勤務したかも分かるため、金銭を扱う意識が非常に高まりました。もちろん、過不足はほとんどなくなりました。
レジ金過不足の対応が残念なガソリンスタンド2:スタッフを露骨に疑う
レジ金の過不足の原因は、現金在高の数え違い、お釣りを多く渡してしまったというミスの他に、不正といったスタッフの悪意も挙げられます。
ミスを検証する前に、スタッフの悪意を露骨に疑うガソリンスタンドは残念です。スタッフを信頼していないから、そのようなことが発生します。よって、そもそも信頼できないスタッフをなぜ採用したのか、ということになります。自店にマッチした信頼できるスタッフを面接でどう選抜するかは、以下のコラムを参考にしてください。
人材を採用するために行う面接で実施するべき質問の具体例
また、最初は信頼できてもだんだん信頼できないスタッフになってきたということも考えられるでしょう。この場合、コミュニケーションに問題がある場合が多いはずです。円滑なコミュニケーションに関しては、以下のコラムを参考にしてください。
人手不足を食い止めるために意識するべき3つの窓
レジ金過不足の対応が残念なガソリンスタンド3:スタッフの自腹で埋めさせる
レジ金の過不足が発生した場合に、その時間帯に勤務していたスタッフの自腹で過不足分を埋めさせるガソリンスタンドは残念です。これは、ガソリンスタンドがこのスタッフから利益を得ているにも関わらず、被った損害をスタッフに賠償させる行為です。
ここで、ある訴訟を取り上げます。仕事でタンクローリーを運転していた従業員が事故を起こしたことで損害を被った雇用主が、この従業員に損害賠償を請求したという訴訟の最高裁判決で、雇用主は従業員に対して、損害額の25%のみ請求できるとしました。
この判決の背景には、業務で起こりうる損害を、従業員にだけ押し付けるのは不公平という考えがあり、これを押し進めると、仕事をしている上で、ある程度は避けられない小さなミスによる損害の場合は、一切弁償しなくてよい場合もある、と考えられます。
よって、自腹での補填を求められたスタッフが労基署などに相談に行ったとしたら、ガソリンスタンド側は不利になる可能性が高いと言えます。
今回のコラムでは、レジ金過不足の対応が残念なガソリンスタンドとして、1.情報を全スタッフで共有しない、2.スタッフを露骨に疑う、3.スタッフの自腹で埋めさせる、を挙げました。今回のコラムが、ガソリンスタンドのレジ金過不足を発生させない対策の参考になれば幸甚です。
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